fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

次にバブルが崩壊するのは、コーポレート・クレジット市場

My Big Apple NY
バロンズ誌
企業は、国家は、低金利を背景に借入を拡大させてきた。さながら、2008年の金融危機をもたらしたサブプライム向け住宅ローンのようだ。
年始のバロンズ誌によるラウンドテーブルでは、ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラックCEOが、債務に依存する経済で社債市場が最大のリスクであると警告した。投資適格級は規模が拡大する一方で、質は悪化し、多くはジャンク債へ沈みつつある。
しかしながら、企業は巨額の社債を発行し続けている。多くの企業が起債する理由は、米FRBの政策転換であり、利上げに対し「辛抱強くなる」姿勢を表明し金利据え置きを示唆したことだ。しかし、マクロメイブンズのステファニー・ポンボイ氏いわく、これは「赤信号」である。FOMCの記者会見で、パウエルFRB議長自身がかつてリスクを警告したが、据え置きによる同市場の影響について、リスクは僅かと答えるにとどまった。ポンボイ氏の耳には、2007年5月のバーナンキFRB議長(当時)の発言のように響いたものだ——「サブプライム向け住宅ローンの問題は銀行や貯蓄金融機関に深刻な影響を及ぼさない」。
規制当局者は、金融規制改革を通じ銀行の資本は増強され当局が精査を続けてきたため、2008〜09年に発生したような危機は発生しないと強調する。もっとも、問題はノンバンク・セクターだ。銀行は疑いのあるクジレットデリバティブに変えて高格付けを与え、債務担保証券CDO)として投資家に売却した。しかも、上場投資信託ETF)のように2倍や3倍にレバレッジが掛かった商品へ変身したものもある。高利回り債に連動するETFは、個人投資家も取引してきた。つまり、かつてサブプライム住宅ローンが組み込まれたトリプルA格付けの証券は、現在の高利回り債関連ETFといっても過言ではない。しかも、金融機関が保有する社債残高が減少しており、ETFの急落が開始した局面で頼りになるマーケット・メーカーはごく一部という状態だ。
ETFマネージャーはこうした悲観的予想に対し、売り局面を無事に消化してきたと説明する。もっとも、流動性となれば話は別だ。レバレジッド・ローン市場は1.3兆ドルの、ジャンク債市場は1.2兆ドルの、さらにジャンク債の一つ上の投資適格級の社債市場は3兆ドルに及ぶ上に今年は7,800億ドルの償還を迎える。
ポンボイ氏の見通しは、高利回り債などを抱える年金ファンドのような金融機関にとって暗い見通しと言えるだろう。しかし投資家は、金融危機時のクレジット・デフォルト・スワップCDS)のような売買が複雑な商品以外で、ジャンク債の崩壊を利用することができる。カンター・フィッツジェラルドのピーター・セッチーニ首席マーケット・ストラジテストは、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)のプット・スプレッドに買い推奨を出す。これなら4月18日までに83ドルで売る権利に加え、40セントのコストで権利行使価格80ドルのプット・オプションを含む。
ポンボイ氏の予想は、過度に悲観的かもしれない。しかし、同氏は金融危機のリスクを正確に予想した一人だ。カサンドラの予言のように、予想が的中するのかは時が教えてくれるだろう。

——2018年11月FOMC議事要旨だけでなく、2018年11月28日に公表した金融安定報告で、企業の借入依存度が「歴史的に高い」と指摘し高リスクの企業債務やレバレッジ・ドローンに警鐘を鳴らしたものです。直近では金利が低下したためか、こうしたリスクへの配慮が消えたも同然。パウエルFRB議長は景気後退を回避する上で最良の手段を選択しているのでしょうが、ニクソン政権下でのバーンズ議長のような失敗を繰り返さないと言い切れません。


大きな危機は二度として同じものはないとされる。
サブプライム向け住宅ローンによる危機はもうない。しかし、 サブプライム向け企業ローンとも言える社債バブルはもう膨らみ上がってしまっている。
米中経済が順調に拡大することを見越し、設備投資や研究開発を大幅に進めてきた。
しかし、米中経済が失速し出すと業績は低迷し、企業に残された過剰債務、社債は大きな重荷になる。
ジュグラーサイクルが示す通り、景気循環は下向きの時期に入り、それを無視するかのような過剰設備投資、過剰債務は大きな問題となる。私fxdondonが設備稼働率を気にするのは、そこにある。
社債バブルがハジけるということは、株価にも直結する。企業の存続危機が主役となるバブル経済崩壊は、前回の銀行などの金融機関の危機とは違った様相を示すでしょう。