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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

ドル悲観論とドル楽観論

ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を契機に水面下から突如姿を現した信用収縮とドル不足に対して、前代未聞の金融緩和と信用緩和で挑んでいる。銀行間取引では緊張緩和の兆候が見られるものの、米国を超えて世界の「最後の貸し手」となったFRBのバランスシート(B/S)は急激に水膨れしている。こうした政策の延長線上には深刻な問題が控えていないのか、金融界では危ぶむ声が上がっている。
<B/Sはいずれ臨界点に>
FRBによると4月22日時点のB/S(総資産)は6.57兆ドル(707兆円)と、3月3日の緊急連邦公開市場委員会(FOMC)の直前と比べ1.6倍に膨らんだ。
主要項目で伸びが目立つのは、5.5兆ドル台(596兆円)に突入した証券保有残高や過去1カ月で9100倍の4097億ドル(44兆円)まで膨れ上がった他国中銀とのドル流動性スワップだ。
急膨張の原因は、FRBが最後の貸し手として世界中にドルを供給しただけでなく、その取引先が過剰債務を抱える非金融部門にまで及んでいること、米景気対策に伴う大型財政支出FRBが事実上ファイナンスしていることだ。
「米国では現在、FedのB/Sと財政赤字が両建てで拡大している。ウィルスの感染拡大が終息し経済が平時に戻っても、それらの規模は元には戻らないだろう。赤字を減らしてB/Sを圧縮するには大幅な増税が不可欠だが、コロナ危機後のぜい弱な経済はそれに耐えられないからだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア・グローバル投資ストラテジスト、服部隆夫氏は話す。
トランプ米大統領は3月27日、新型コロナウイルス対策として2.2兆ドル(米国内総生産(GDP)の約1割)の米国史上最大規模の救済法案に署名し、きょうにも4840億ドルの追加対策に署名する。
しかし、米国経済は3月下旬から完全に停止している状態で、GDPの1割を大幅に上回る付加価値が失われていると考えられ、1割程度の財政手当では経済の縮小を食い止められそうもない。景気悪化の渦中では財政支出乗数効果も望み薄だ。
「景気のV字回復を狙って米国が追加的財政措置を講じ続ければ、いずれは赤字もB/Sも臨界点に達し、米国債の信用が失墜し、ドルは減価するだろう」と服部氏は予想する。
<過剰な信用緩和と過小な資本>
米国の歴史経済学者のチャールズ・キンドルバーガー氏は「過剰取引は熱狂の一形態である」とした。今回の過剰取引は長年の金融緩和を背景に借入れを増やした米国内外の非金融部門(企業、個人)にあるが、現段階の過剰取引の主役はFRBかもしれない。
「バランスシートに巨大なリスクをため込みながら、政府の子会社のように財政ファイナンスを請け負い、企業金融にまで手を染めだしたFRBの姿は日銀に酷似している」とある金融機関幹部はいう。
同幹部は、日米ともに、財政の持続性が失われている状態で、中銀が大量の国債を買い入れて貨幣量を増やしてしまうと、物価を大幅に上昇させることなしに、貨幣余剰を解消することは難しいと指摘する。
FRBは今月9日、中小企業向けに民間銀行を通じた最大6000億ドルの無利子の融資と最大5000億ドルの地方債買い付けを柱とする最大2.3兆ドルの信用供与パッケージをまとめた。中銀であるFRBが従業員1万人以下の企業に直接融資するのは前例のない実験的な政策だ。
FRBはまた、投資不適格級に最近格下げされた社債の一部を社債購入ファシリティの対象に加えるなど信用緩和策を拡充した。
「企業金融においてコロナ災禍が今後さらに降りかかる事態になれば、一息つけた民間企業も、民間から含み損を付け替えられたFRB財務省も共倒れすることになるだろう」と三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏はみている。
FRBの資本は保有資産のリスク量に比べて非常に少なく、現在388億ドルしかない。


パチパチパチ(拍手)、よくできたドル悲観論に拍手を。
さぁて、どこから切り崩していきましょうか。
まずは、「米財政赤字FRBのバランスシ-トの臨界点」とは? それって、いくらになったら臨界点なのでしょうか?言えないでしょう、その臨界点の金額とやらを。
それって、日本に対してよく言われてたことと一緒です。日本は財政破綻する、日本はハイパ-インフレに見舞われる、円は暴落する、とおもしろおかしく騒がれたものです。では、現実は?
要は、財政赤字の質の問題で、自国通貨建ての政府債務は大きな問題になりません。「米政府の負債はFRBの資産、米政府の資産はFRBの負債」という原理原則がわかっていれば、臨界点などないことがわかります。
次に、「米国債の信用が失墜し、ドルは減価する」?信用格付けのことですかね?日本国債なんか、すでにシングルA-ですが?それが何か?
世界の基軸国債米国債基軸通貨は米ドルですが、それが崩壊するとでも言いたいのでしょうか?では、今後何を基軸とするのでしょう?基軸国債米国債からドイツ国債に代わるとでも?アホらし。
例えが適当かどうかわかりませんが、米国債・米ドルは「腐っても鯛」なんです。「腐ったサンマ」「腐ったイワシ」とは訳が違うということです。
次に、「民間から含み損を付け替えられたFRB財務省も共倒れ」?そうならないためにも、民間の含み損あるいは企業破綻の損失を埋めればいいだけのことです。FRBが有利子の米国債をいくら保有していると思っているのですかね?今でさえ、FRB米国債保有で得られた利息収入は、FRBの維持に必要な金額を差し引いて米国政府へ戻しています。ですから、FRB保有国債利息収入を米国政府に戻すのではなく、余剰金は民間の損失を消すために充てればいいのです。
最後に、「FRBの資本は保有資産のリスク量に比べて非常に少なく、現在388億ドルしかない」?これは上で述べたことと重なりますが、FRB保有国債の利息収入を政府に返すのではなく、FRBがすべて受け取っていれば、資本(余剰金)はタンマリ膨らんでいました。FRBは営利目的の存在じゃありませんから、資本を増やすことを狙っていませんし、資本拡大が目的ではありません。
このロイタ-記事の記者、編集者は、米ドル危機をおもしろおかしく書きたい意図がみえみえですね。
まぁ、上記内容は「アフタ-コロナ」「コロナウィルス感染消滅後」のことを書きたかったのでしょうが、今の時期にそのようなタラレバは早過ぎます。今後の「コロナクライシス」「世界総デフレ」のタラレバを語るべきです。

では、ドル楽観論の反撃といきましょうか。
現在のドル楽観派は、「コロナクライシス」「世界総デフレ」ということを前提としています。つまり、コロナショック、世界的景気後退がますます酷くなるという人たちです。たとえコロナウィルスの感染拡大が弱まったとしても、経済のⅤ時回復は見込めず、不況が長引いて企業倒産、雇用破壊が続くと観ている人たちです。
ル-ビニ教授のドル楽観論については、先日記事にしていますので、そちらを参照して下さい。
そして、心強い人がドル楽観派に加わってくれました。ヘッジファンドの帝王、レイ・ダリオさんです。

ブル-ムバ-グ
ヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者で富豪のレイ・ダリオ氏は出版を予定する著書「The Changing World Order (仮訳:変わりゆく世界秩序)」の内容紹介ブログで、「マネーとクレジット、債務がどう機能するかを知らなければならない」と説いた。
ダリオ氏の分析は「マネーとは何か」という単純な問い掛けから始まる。多くの通貨は本質的な価値を持たず富とは違うとする同氏は、中央銀行による紙幣の増刷自体は必ずしも悪いことではないが、中銀は最終的に通貨を切り下げるので大半の通貨が破壊されるとの見方を示す。
それでも、準備通貨を印刷できる国には有利に働くとして、米ドルが国際的取引の55%を占めていることを指摘した。
世界的な新型コロナウイルス危機に「ヘリコプターマネー」で対応しようとする米国の取り組みを、1933年に金本位制を放棄したフランクリン・ルーズベルト大統領(当時)の宣言と比較し、「準備通貨は恐らく、軍事力以上に最重要な力だ」と指摘した。
米経済は世界の総生産の約20%を占めるにすぎないが、ドルは準備通貨の約60%、国際取引の半分余りを担っていると説明し、ドルとドルベースの通貨・支払いシステムが依然として「最上位に君臨」し、経済規模に比べて「大き過ぎる」地位を占めていると分析した。
「米連邦準備制度は現在、米国民にとっては良いが、ドルに依存している世界の他の国・地域にとっては良くないかもしれない金融政策を実施するという、強いながらも居心地の悪い状況にある」との見方も示した。

ヘッジファンドの帝王ダリオさんも、新型コロナウィルスの経済・市場に対する観方が当初はわからずにいました。
ダリオさんが先月、自身のSNSで、「私に大きな強みがないことには賭けたくない。どんなポジションも大きくしたくない。どう賭けるのかということより、大きなわからないことに対してどうやって自分を中立にするかを追求したい」と書き込んでいた。勝てると思う時に大きく賭け、そう思えない時にはポジションを中立にする。新型コロナウィルスによる危機については、この先ウィルスの問題がどちらに転ぼうとも影響を受けにくくなるようポートフォリオを組み立てていることを明かした。
その投資戦略については、具体的に公表されることはない。しかし、上記の記事内容から、ある程度のことはわかります。
要約すれば、
●準備通貨を発行できる国、つまり米国には有利に働く。
●米ドルという準備通貨は、混乱の世で最大のパフォ-マンスをみせる。それは、軍事力以上の覇権力を示す。
●ドルに依存する国、特にドルの信用を基にしたドル建てで資金調達を行わなくてはならないような国、つまり新興国には悪い状況へ向かう。
というのが大筋でしょうか。
私fxdondonの考えと、帝王ダリオさんの意見や判断が一致したことは非常に心強く思います。