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ジャンク企業予備群 デフォルトラッシュの恐れ

【ニューヨーク時事】新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした米株式市場の混乱が、社債市場に飛び火している。12日には、経済活動の縮小による企業の資金繰りへの懸念が広がり、財務基盤の弱い低格付け社債の価格が下落した。倒産などが相次げば、信用不安につながる可能性があると警戒感が高まっている。
近年の低金利環境下で、企業は社債による資金調達を増やし、投資家は比較的高い金利を得られる低格付け社債に投資してきた。経済協力開発機構OECD)によると、金融機関を除く世界の社債発行残高約13兆5000億ドル(約1400兆円、19年末時点)のうち、約半数は低格付け社債が占める。
今後3年間で満期を迎える社債は約4兆4000億ドル。社債価格の下落で損失を抱えた投資家が、市場から手を引けば、低格付け企業は借り換えができず、資金繰りに行き詰まるケースが続出しかねない。
米銀大手ウェルズ・ファーゴエコノミスト、ジェイ・ブライソン氏は「銀行は融資基準を厳格化し始めるだろう」と指摘し、信用収縮の発生を懸念している。

【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染拡大で世界がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が強まっている。株価急落にブレーキがかからず、史上最長の米景気拡大にも黄色信号がともる。各国は市場の混乱が金融危機に発展する最悪の事態を警戒している。
金融当局が警戒するのは、市場のパニックが信用収縮を招き、金融危機を誘発するシナリオだ。リスクの高い低格付け社債の発行残高は米国だけで3兆ドル(約315兆円)に上るとされる。国際通貨基金IMF)は、低格付け社債市場が「大きな打撃」を受けていると注意を促す。
専門家の間では「大手銀行の財務基盤は強固で、金融危機とは異なる」(ルー前米財務長官)との見方が多い。だが米ブルッキングス研究所のルイーズ・シェイナー上席研究員は「(リーマン・ショック当時は)問題は住宅ローン債券市場に限られていたと思われていたが間違いだった」と、リスクの過小評価を戒める。 

 

2020年、今回のコロナショックは他の危機とは比較にならないほど株の下げ幅が大きいのが特徴か。感染拡大を恐れて世界的にヒト、モノ、カネが分断された状況となったために、消費が進まず、目の前からみるみる需要がなくなっていくという現象が起きている。この恐怖は市場の動揺を示すVIX指数(恐怖指数)に高止まりという形になって表れている。
かつての危機とはまったく次元が違う、そのことにようやく気付いてきたようです。
記憶に新しい前回の世界金融危機では、ジワジワと企業の破綻が進んでいったように思えます。まず、サブプライムロ-ンを端に発した住宅金融が潰れ、銀行も潰れた。その後、保険会社や一般民間企業が潰れていった。
しかし、今回はヒトがモノやサ-ビスを消費できなくなることから始まっており、まず一般民間企業が潰れ、その後に銀行は融資焦げ付きなどで不良債権が増加、金融危機へ発展とするようなイメ-ジです。

では、一般民間企業の中で、バブル景気だから生き残ってこられたジャンク企業とその予備軍。それを格付け別で観てみよう。

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ジャンク債(投機的)一歩手前であるBBB格付けの社債残高が増えています。こうした企業は、自社の社債がジャンク債に格付けされない範囲でできるかぎり大量の資金借り入れを行っている。ジャンク債への格下げは借り入れコストの急激な拡大につながるからである。低金利を利用して、極限まで資金を調達しておこうという企業の財務戦略があります。
しかし、社債には満期があります。仮に今まで年利2%で調達できていたものが、トリプルB未満のジャンク等級に格下げ後、新発の社債は年利5%以上になってしまうなんてこともあり得るのです。今後の業績見通しで厳しいものとなれば、10%以上でも引き受けてくれない可能性もあります。
では、銀行からの融資に切り替えようとしても、そう甘くはありません。上記記事にあるように、銀行は融資基準を厳格化し始めます。
良いときには良い方に転び、悪いときには悪い方へ転ぶ。これも世の常である。
おそらく、世界の企業破綻数は、前回の世界金融危機時を上回るものと推測します。単発倒産のみならず、連鎖倒産、負のドミノ倒し、そのようなケ-スが相次ぐのではないかと思えます。