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米政府閉鎖

アメリカウォッチング

米国政府の最後の政府閉鎖は、米史上、最も長い一ヶ月以上でありトランプ政権下で発生した。これは、議会の責任とは無関係であり、避けることは可能であったが、当時大統領ドナルド・トランプの間違った決断によって引き起こされたものである。今回、バイデン政権下で、初めての政府閉鎖が起きた場合、その原因とトランプ下で起きた過去の原因とは大幅に異なっている。グローバル的経済に悪影響を及ぼす有害な政府閉鎖は、避けることは可能であるが、現在見られる政治的膠着状態は、政府閉鎖が必然的であることを示唆している。しかも、トランプ政権下での長かった政府閉鎖より、今回の政府閉鎖の懸念は遥かに深刻である。
政府閉鎖は、全ての政府機関が運営を停止する訳ではない為、通常一部閉鎖と呼ばれている。米国は1880年代に制定され、1982年に改正された過不足防止法を保持している。この法律は、議会が予算法を制定せずに、連邦の省庁が不必要な活動を行うことを禁じている。政府閉鎖はほとんどの場合、議会が継続予算法案の制定に失敗するか又は大統領がその予算法案に署名しない場合に発生し、後者の場合は稀である。政府閉鎖に直面すると、重要部門での政府機関は、労働者の支払いを延期し、業務を継続することになる。その結果、約10の行政部門に関連する政府活動の約30%に影響を及ぼし、約80万人の労働者は、部分的または完全に給料なしで働く必要がある。そのような部門は安全保障、軍隊、法務執行当局、郵政公社、空港のセキュリティ部門および管制塔などが含まれる。しかし、食品安全性の検査、社会保障の支払い、フード・スタンプ、ビジネス・ローンやパスポート申請などに関連する部門は閉鎖される。近年最後の政府閉鎖はトランプ政権下で、2018年12月22日の東部時間深夜から2019年1月25日まで35日間続き、歴史的に最長の閉鎖に直面した。議会予算局(CBO)によると、この5週間の閉鎖による経済的損害は、補償と商品やサービスの購入に対して、連邦の裁量的支出が推定180億ドル遅れ、一部の連邦サービスが停止された。この機関での経済活動の低下の結果、CBOの推定では、インフレ調整済みの2018年第4四半期の国内総生産GDP)は30億ドル減少した。

当時の政府閉鎖は歴史の中で最も非合理的な理由に基づいていた。政府の運営に必要な資金を提供するための継続予算法案は、多数派であった共和党による債務引き上げを支援し、民主党の協力によって両院で通過した。しかし、トランプはその予算に彼が希望している国境壁を建設する為の費用が含まれていないとして、両院で通過した法案に署名しなかった。ホワイトハウスと議会は、その壁建設の資金に関して交渉を行ったが、議会はトランプ政権に同意しなかった。政府を35日間も閉鎖に追い込み、多額の損失を招いた。

現在、就任一年未満のバイデン政権下で政府閉鎖の脅威に直面している。政府の運営に必要な資金を提供するための法案は、その予算と負債上限引き上げが常に一体であるからである。政府は運営を維持するために新たな資金が必要である。財務省はその新たな資金を利用して、過去に通過した法案のために支払った請求書の支払いをすることが可能である。通常、その支払い額は歳入を超過する場合が多いため、負債上限引き上げまたは負債上限の一時的な解除が行われてきた。しかし、今回、上院議会の共和党は、米国の税金と支出プログラムであるバイデンの3.5兆ドル法案に反対している。
通常、負債上限引き上げは超党派で同意しているため、今年、共和党は非常に極端な行動を取っている。今回、民主党が大統領であるため、更なる負債に反対している。共和党は米国の財務責任を現在放棄しているような状況にある。財務省長官ジャネット・イエレンは、政府閉鎖と債務不履行が同時に発生した場合、2008年と同様の景気後退に陥り、グローバル経済に壊滅的な影響を及ぼすと警告している。更に、蔓延に加えて、バイデン政権の別の不利な状況は、トランプ政権下の議会が、多くの部署に閉鎖前に資金を提供していたため、影響を受けた部署はわずかであったが、まだ一年未満の現政権にはそのような閉鎖の危機に対する準備が提供されていない。近年、大統領が共和党でない場合、民主党大統領の成功を望まない共和党は、彼ら自身も政府閉鎖と債務不履行による何らかの影響を受ける可能性があったとしても、それが党派の利益になると信じている場合、米国と国民がいかなるダメージを受けても何もしないことを選択している。彼らにとって、国の反映より、多額の選挙資金を寄付する富豪者を保護することの方が重要であり、マコーネルはその立場を歴史的に維持している。
議会の機能不全は、マコーネル、下院少数派リーダーのケビン・マッカーシ、マンチン、シネマのような議員らによって引き起こされている中で、トランプ政権下で起きた政府閉鎖より、もっとダメージが大きい政府閉鎖に直面する可能性があると予測されている。