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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

外国為替相場の基本的なことを確認

外国為替相場に精通している方には説明するまでもないのでしょうが、FX初心者とかFXで勝てない方のために外国為替相場の基本的なことを確認しておきましょう。
外国為替相場の大局的な動きを観てみます。
まずは、1971年から2017年までの英ポンド/米ドルの為替レートの推移です。

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次に、1971年から2017年までの米ドル/スイスフランの為替レートの推移です。
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大局的に通貨の強さ(通貨高)を示すと、スイスフラン>米ドル>英ポンド となっている事実がわかります。
この3つの通貨の強弱はいろいろな過程を経て、現在の結果事実として表れています。

世界の景気や経済活動には循環サイクルがあります。景気経済の高成長は短距離走(短いサイクル)、低成長は長距離走(長いサイクル)だと思っていいでしょう。
高成長をずっと維持することは難しく、数年で息切れを起こして失速します。逆に、そこそこの成長、低成長は急な息切れを起こさずに10年持続することもできます。それが、今現在の状況ですね。
ただ、それもいつかは息切れを起こします。不思議と言えば不思議ですが、山あり谷ありが連続して起こります。
これからの説明や確認事項は、外国為替相場での強弱を示すものですので、ある1国のデ-タだけを観ても意味がありません。外国為替相場は相対取引ですので、2国間の比較でなければ意味がありません。ここが一番の重要なところです。

まずは、経済成長率の比較から観てみましょう。
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結論から言うと、経済成長で高成長だから通貨高になるということはありません。目先に影響することはあっても、経済成長というのは通貨価値を構成する1つの側面であって、将来的な結果には結び付きません。
初心者や勝てない方の陥る罠になっているのが、この経済成長だと思われます。高成長が示される相場の初動は通貨高なのですが、それには持続性継続性はありません。前記したように、景気経済は絶えず動いていますので、今現在の高成長というのはもう過去であり、明日あさってと刻刻と動いていくからです。

そして、インフレ率の比較を観てみましょう。
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結論から言うと、インフレがすべてと言って過言ではないでしょう。
インフレとは通貨価値の減価ですから、インフレが高いほど通貨価値の減価が大きいということです。消費者物価、生産者物価、輸入物価などいろいろなインフレを示す指標が発表されますので、確認することは容易です。
インフレが進むと、中央銀行はインフレ抑制のために金利引き上げを行います。次なる初心者や勝てない方の陥る罠が、この利上げによる初動の通貨高の動きです。基本的に、投機的には低金利のところから高金利のところへとおカネは移動しますので、金利引き上げ=通貨高という初動に騙されてしまいます。
しかし、インフレ率>政策金利 になっていますので、長い目で観ると投機的に運用益は望めません。金利分の収益はあっても、通貨価値の減価分(通貨安)が上回ってしまいます。
通貨価値=正味価値+投機的価値 ですので、インフレによる通貨価値減価と、政策金利引き上げの投機的価値増価のバランスで通貨価値が決まります。
このインフレ推移を観れば、なぜ通貨価値がスイスフラン>米ドル>英ポンドの順になっているかが一目瞭然です。日本を加え、低インフレの例を増やしてみました。

次に、経常収支です。
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経常収支が黒字だから通貨価値が増価するとは限りません。外国為替レ-トというのは、実際にある国の通貨とある国の通貨が交換売買されて決まります。ある企業がドル建てでいろいろなパ-ツを輸入し、それを完成させてドル建てで輸出し、輸出超なので代金をドルで受け取ったとしても、ドルの価値は不変です。経常収支(貿易収支)が黒字でも、ドルが他の外貨に交換売買されていないからです。
ただ、自国通貨ではない外貨は必要に応じて自国通貨へ替えられることが多いので、経常収支黒字は通貨高へ結びつきやすいと思われます。

次に、人口動態です。経済を構成する諸要素は、ヒト、モノ、カネ、サ-ビス情報などですが、ヒトの状況も重要です。
出生率と平均寿命の推移を観てみましょう。
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ここでも、日本とスイス、米国と英国にグル-プ分けできます。
結論から言うと、少子化高齢化は通貨高に作用します。
このあたりは、外国為替相場に精通する方の中にも誤解されている方がいるようです。「少子化高齢化は経済を縮小させ・・・・・」という経済論が邪魔するのでしょう。インテリほど、その意識が高いように思われます。
先にも記しましたが、経済規模がいくら成長しようと、外国為替相場には関係のないことです。何度も言うようですが、外国為替相場は、ある国の通貨とある国の通貨の交換売買によって決まるものであって、経済の成長や規模は関係ありません。
ざっくり言えば、少子化高齢化は、外貨を必要としない方向へ進む、という結論になります。出生減は、ヒトが赤ちゃんから大人へと育っていく過程での消費を減らすことになります。使うおカネが減れば、必然と外貨をも必要としないように動くのです。消費より貯蓄が上回ります。平均寿命が延びる高齢化も同じです。高齢者の楽しみは、おカネを使うことで得られる満足ではありません。
通貨価値では、日本円とスイスフランは正味価値は高いが投機的価値は低い、英ポンドと米ドルは正味価値は低いが投機的価値は高い。この基本特性を理解した上で、これからもFXで稼いでいきましょう!