fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

通貨安戦争の勝者と敗者

ブルームバーグ): 2019年に入ってからの円の独歩高がついに、ヘッジファンド運用者の関心を捉えた。
商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドなど投機家が円にここまで強気になったのは16年11月以来。今月に入って間もない時期までは1年余りにわたり円をショート(売り持ち)にしていたが、米中貿易摩擦で世界の経済成長を巡る懸念に拍車が掛かると、円の見通しを徐々に明るくしていった。
円は今年に入り全てのG10通貨に対して値上がりしており、「不安定な」リスク見通しを踏まえると今後も上げ続ける見通しだと、シティグループが指摘した。
シティのG10通貨戦略責任者カルビン・シー氏(北米担当)は、「円はG10で群を抜いて最高の安全資産通貨だ」と指摘。「現在の状況では、円のリスクは上昇の方向に大きく傾斜していると引き続き考えている」と述べた。
円の対ドルでの年初来上昇率は約3%と、G10通貨の中で最高。債券市場が世界経済に警戒シグナルを発した先週は1ドル=105円05銭と、年初来高値近くまで円高が進んだ。
一方、足元で円高や株安が進んだことで、早ければ9月18、19日の金融政策決定会合で政策変更を伴った追加緩和に踏み切る可能性を予想する声が出てきた。
モルガン・スタンレーMUFG証券は、短期政策金利のマイナス0.1%から同0.2%への引き下げ、その副作用軽減対策として銀行に対するマイナス金利での貸し付けを行うと予想。さらに指数連動型上場投資信託ETF)買い入れの小幅増額に加え、フォワドガイダンス(政策金利の指針)も現状の「少なくとも2020年春ごろまで」から「少なくとも2020年末まで」と延長するとみる。
一方、シティグループ証券の村嶋帰一、相羽勝彦両エコノミストは、「リスクオフムードの中で円高が続き、大幅な株安が進めば、10年国債利回りの変動幅を拡大し、ETF買い入れ額を増額する可能性が高い」と指摘。マイナス金利の深掘りについては引き続き懐疑的との見方を示した。
追加緩和時期については市場動向次第であると予想し、モルガン・スタンレーは追加緩和が10月にずれ込む可能性に言及、シティグループも円相場と株価の安定が続く場合は9月の政策対応はないとした。

日本円は多くの時期で過小評価されるのが宿命。しかし、景気循環サイクルで好況から不況への転換期において最強であるのは、過去が示す通り、今も変わらない。
米欧日の金融緩和合戦は「通貨安戦争」と呼ばれるが、日本はすでに武器となる『異次元緩和』を使ってしまった。使い終わっての現在の円相場となっているわけだが、米国にはまだ2%の利下げやFRBのバランスシ-ト拡大という核兵器と呼べる通貨安への武器がある。日本には「通貨安戦争」で相手に勝てる武器はもう残されていない。