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米国債利回りマイナス警戒 今後3年に及ぶ円高サイクル

JPモルガン・チェースの長期投資戦略の上級アドバイザー、ジャン・ロイズ氏は、世界でほぼ13兆ドル(約1400兆円)に上るマイナス利回り債券の山は、「流砂」のように米国を含めた債券市場の大部分を飲み込みかねないと警鐘を鳴らした。
米10年債利回りは2%台に戻し、失業率は約50年ぶりの低水準付近で、株式相場は最高値に近い水準にあるため、米国債利回りがゼロに低下する可能性は低いように見えるかもしれない。だが、ロイズ氏は、それが起こり得るシナリオを示す。
ロイズ氏の見方では、それは貿易戦争の長期化と設備投資の急減を要因とする「ごく普通のリセッション(景気後退)」によって引き起こされ得る複数年にわたるプロセスになるという。その見通しに従えば、連邦準備制度理事会FRB)はインフレ率低下の中で、政策金利をゼロに引き下げ、量的緩和再開に踏み切り、その結果、利回りは大幅に低下する。
同氏は「今後3年間で米国債利回りはマイナスでなくてもゼロに低下し、市場全体がゼロかマイナスの利回りで推移する可能性がかなり高い」と予想した。
世界的な指標金利である米10年債利回りは、英国が国民投票欧州連合(EU)離脱を決めた2016年に1.318%まで低下したが、その水準を下回ったことはない。今月17日には米国株が下落する中、10年債相場は上昇し、利回りは0.06%低下して2.04%を記録した。トレーダーは米利下げ観測を強めている。
ロイズ氏は、自身が想定するシナリオ通りになった場合、10年債利回りが少なくとも2段階で大幅に低下する状況に投資家は備えるべきだと語る。まず1%を割り込む段階で、投資家は30年債を積極的に買う一方でドルを売り、当初は株離れが起き、その後、利回りがゼロ付近で落ち着くと有配株や不動産投資信託(REIT)、現地通貨建て新興国債など、高めの収益が得られる証券に投資家は向かうという。
同氏は「日本と欧州の過去10年の教訓は「ゼロ金利とマイナス金利の世界はゴルフのバンカーのようなものだということだ。流砂のシナリオはイベントではなくプロセスで、3~4年にわたる可能性がある」と指摘。「欧州と日本で起きたのと同じことが米国でも起こる可能性があるという警告を日欧は出している」と付け加えた。


モルガンスタンレ-のような弱気派、悲観派の意見ならともかく、強気なJPモルガン・チェースがこのような考えに至るというのは注目です。
米国債利回りがマイナスに、なんてことになると、ドル/円はいったいいくらに行くのかは予想も難しい。言えることは、円高ドル安に傾くことだけは間違いない。今後3年に及ぶ円高サイクルが始まっているという考えが、これでまた1つ増えたことになる。