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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

1ドル100円の節目

ロイター 6/19
国内大手生保は、さらなるドル安・円高を見込み、静観姿勢を保っていることがロイターの聞き取り調査で明らかになった。米利下げ観測が強まるなかで、ドルは一時107円台まで下落したが、依然として各社の想定内であり、予想レンジ修正の動きもまだ見られない。年初来安値の104円に接近するような一段の円高が進む局面で、ドル買いを考えているとの声が聞かれた。
日本生命では「一時的には、さらに円高が進む可能性もある」としつつも、現時点ではドルが100─120円のレンジで推移するとの従来シナリオの変更が迫られるとは判断していない。一時的な円高進行の可能性を視野に入れつつ「米中貿易協議やFRBの金融政策動向を見極めながら、慎重に投資を進めていきたい」(国際投資部長の都築彰氏)として、慎重に押し目買いを入れる意向を示した。
第一生命は、従来は早ければ2020年後半にも米国経済がリセッション入りするリスクを見込んでいたが、「金融政策が予防的に支えてしまうので、そのリスクは大きく後退した」と見方を転換。しかし「ドル/円は110円を挟んで105─115円がコアレンジだと思っているので、今のところは想定内」として、従来の為替見通しを維持している。外国債券部の松本浩一部長は「もう少し円高にいってもおかしくない」との見方を示した上で「その水準に行ったら絶対買うという意味ではないが、少なくとも105円か、1月にタッチした104円台とかが目安になる。(その水準をつけるに至った)材料や日柄も見て決める」と述べた。
かんぽ生命運用企画部の福嶋亮介担当部長も、年初来安値の104円をポイントとして挙げる。「今のドル/円水準は、まだ魅力的ではない。せめて1月につけた104円のあたり。ただし、それくらいの調整局面が来たところでオープン外債に行くとは決めておらず、その時に最も安いものに手を出すというのが基本スタンス。現状で言えば、為替と比べて株式の方が割安感がある」と話す。
住友生命は、従来予想よりも円高バイアスが強まったとの認識を持ちつつ、予想の見直しには至っていない。「米国が利下げする過程では、ドル/円は上値の重い展開が見込まれるが、予防的な利下げにより米国の景気底割れは回避されるだろう。従来の予想レンジ100─120円の下の方で推移する時間帯が多くなりそうだ」と、運用企画部の藤村俊雄部長は述べた。
明治安田生命も同様だ。運用企画部の中野康一部長は「今年度のレンジは100─115円、期末は110円を予想している。今は円高方向だが予想の範囲内。このあと105円を切るような展開になり、われわれの見通しとずれてきたら、当然水準感の見直しが必要になる」と話している。

なるほど、国内機関投資家は年初のフラッシュクラッシュ時の104円、そして節目の100円を意識しているようです。その水準では、まだドル資産を買うスタンスでいるようです。
1ドル100円以下というのは、大波で観ると過去2回でしかありません。
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ちなみに、過去2回しかないため、過去の経験則というのは説得力には欠けるかもしれません。
1ドル100円以下が定着するようだと、いずれ円が最高値を更新する。1995年が1ドル79円台、2011年が1ドル75円台でした。202●年には1ドル70円割れで大波の底打ちを示すのでしょうか。
このドルの通貨価値減価(表の赤い線)については、日米インフレ格差と米財政赤字という政府のドルばら撒きによる結果です。過去、何度となくこのブログで記述してきた通りです。
そして、やはりカギを握るのは、上記の機関投資家の動きでしょう。いくら海外勢がドル売り円買いに動いても、本邦機関投資家は1ドル100円まではドル建て資産の買いに動きそうですが、100円を割り込むようだと運用方針を見直すものと思われます。
その中で、まず本邦機関投資家が米国の低格付け債、いわゆるジャンク債に多く手を出しており、その手仕舞い為替相場にも大きく影響しそうです。
Preqinによると、日本国内の機関投資家に関する新報告書によれば、日銀による2016年のマイナス金利導入以降、国内機関投資家は利回りを追求する対象範囲を拡げ、ポートフォリオ分散投資や非伝統的市場への投資に興味を示すようになったと報告しています。現在、国内機関投資家の3分の2は1つ以上のオルタナティブ資産に投資している。プライベートキャピタル市場における投資先は現在も国内が大部分を占める中、分散効果を高めるため海外にも関心を強めた。国内機関投資家はまた、より高いリスク・リターンの戦略も視野を拡げ、元本保全のみならず利回りを求めてオルタナティブ投資を行ってきました。
オルタナティブ業界での機関投資家数は、日本は中国(450)に次ぎアジア太平洋内で2番目(303)。この内、66%は実際に1つ以上のオルタナティブ資産に投資している。プライベートエクイティに配分する機関投資家が58%と最も多く、ヘッジファンドへの配分は34%だという。
また、日本の企業年金の運用計画で、上場株式や債券に代わる「オルタナティブ(代替)」と呼ばれる資産の配分が、国内債券を初めて上回ったことが、JPモルガン・アセット・マネジメント(AM)の調査で明らかになった。オルタナティブの比率は20%を超え、外国債券に次ぐ位置づけ。日本での低金利環境が続く中、多くの企業年金国債中心の運用戦略から転換したという。
調査によると、企業年金の平成31年度末時点の運用計画の資産配分は、外債(26・7%)▽オルタナ(21・3%)▽国債(18・1%)▽外国株(14・2%)▽国内株(6・1%)-など。オルタナは前年度末から2・4ポイント増え、20年度の集計開始以来過去最高となった。対照的に、国債の配分は3・2ポイント減り過去最低を記録した。
オルタナ投資の内訳をみると、インフラや不動産への配分増加が目立ち、投資期間が長いものの、安定した収益を見込んでいるという。
しかし、それが覆されることが見込まれると、一気に投げ売り、資金の逆流となる。

2019/06/24(ブルームバーグ
連邦準備制度が金融緩和に近づいている今、社債投資家は購入拡大に積極的だが、過度なリスクテークは控えている。
ジャンク級(投機的格付け)の中で最高格付けの社債と、投資適格の中で最低格付けの社債の相場が先週末にかけて急上昇。高利回り債投資家はその中でも比較的安全な証券を選好し続けているが、投資適格債の投資家はリスクが比較的高い証券で利回りを追求している。
米金融当局が景気拡大維持のため利下げに前向き姿勢を示唆したことを投資家が利回り追求の青信号と捉え、社債相場は上昇した。
ボヤ・インベストメント・マネジメントの投資適格クレジット責任者トラビス・キング氏は、投資家が「質の低い層へと移行している」と語った。投資家は少なくともある程度までは、リスクテーク意欲を強め、社債市場に資金を投じている。ただ、最も高リスクのCCC格付け債はより安全なBBクラスに比べアンダーパフォームにしている。

結局は、中国はダメ、新興国もダメ、欧米もダメという状況になって日本円は強さが光ります。もちろん、日本もダメですが、対外投資資金の流れは日本へ回帰します。世界最大の純債権国・純資産国日本は世界に対しておカネを貸し付けているわけですから当然ですね。