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「ニ-マルショック」が朧気(おぼろげ)ながら見えてきた?

邦銀が抱える米国レバレッジド・ローンのリスク
NRI
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
FRB レバレッジド・ローンを警戒
米国では、金融市場が抱える大きなリスクとして、投機的格付けのハイイールド債(ジャンク債)、投資的格付け最下位のBB格社債などと並んで、レバレッジド・ローンが注目を集めている。
レバレッジド・ローンとは、BB格以下の企業向けに行われる、信用リスクが高く、その分、金利が高めの融資のことを言う。格付けはハイイールド債に近いが、担保があり債務返済順位が高い。さらに、財務状況が一定基準より悪化した場合に、債務の返済を求めることができる財務制限条項が付いている点などから、ハイイールド債よりもリスクが低い。
しかし最近では、この財務制限条項が緩和されたコベナント・ライトと呼ばれる融資が拡大し、ローンの質の低下も懸念されている。また、レバレッジド・ローンを束ねた証券化商品、ローン担保証券(CLO)が多く組成されており、10年前のサブプライムローン問題との類似点も注目されている。
米通貨監督庁(OCC)は、銀行が、十分に認識しない中で、間接的に高リスクのレバレッジド・ローンのエクスポージャーを高めてしまっている可能性があることにも、警鐘を鳴らしている。銀行は、プライベートエクイティ(PE)ファンドや債券ファンドに融資しているが、それらファンドが、リスクの高いレバレッジド・ローンの資金を提供している場合があるためだ。
11月7~8日に開かれた米連邦公開市場委員会FOMC)の議事要旨に、「幾人かは、金融機関を除く民間企業の高い負債比率、とりわけレバレッジド・ローンの拡大が、与信能力の後退に対する経済の脆弱性を高めたと懸念した」と、レバレッジド・ローンのリスクが指摘された。
さらにFRBが11月末に初めて公表した金融安定性報告書では、企業の債務レベルが歴史的に見ても高いことを指摘したうえで、レバレッジド・ローンやハイイールド債など、特定の企業債務について投資家が求めるプレミアムの低さをリスクとして指摘している。低金利が長期化する中、サーチ・フォー・イールドの傾向を強めた投資家は、信用リスクでは説明できない水準まで、レバレッジド・ローンやハイイールド債を買い進めた(金利は低下)のである。
邦銀が米レバレッジド・ローンに積極投資
FRB政策金利引き上げで企業の債務返済力が低下するなか、ひとたび米国の景気情勢が悪化に転じれば、こうした企業債務の市場は大きく調整する可能性があるだろう。
国際決済銀行(BIS)が9月に公表した四半期報告書の中でも、米景気が後退期に入れば、レバレッジド・ローンの借り手である企業のデフォルト(債務不履行)増加などで、投資家は損失を被ることになる、と指摘している。
実は、日本の銀行は、この米国でのレバレッジド・ローンに非常に大きなエクスポージャーを持っている。ブルームバーグが報じたところでは、UBSグループは、最上級のトリプルA格のCLOに近年流入した資金の約3分の1は、日本の銀行によるものと試算しているという。米国債券市場でイールドカーブのフラット化が進み、日本の銀行が米国債投資で得られる利鞘が縮小する中、同じ格付けで国債よりも高い利回りのレバレッジド・ローンの相対的な魅力が高まったことが背景にあるのだろう。
こうした日本の銀行の積極的な投資姿勢は、当面は、不安定なレバレッジド・ローン市場を支える役割を果たすことになるのかもしれない。しかし、米国経済が大きく崩れる局面では、レバレッジド・ローン市場の本格調整も避けがたくなり、その際には、日本の銀行の財務の悪化に跳ね返ってくるだろう。

1兆ドル規模の米レバレッジドローン、市場の運命握る日本の銀行

ブル-ムバ-グ
●人気を集めたローン市場、最近では資金引き揚げが目立つ
●日本の銀行はトリプルAのCLOの4分の3を購入している可能性
日本の銀行は高債務の米企業向けローン債権の3分の1相当を購入し、同市場の規模が1兆ドル(約113兆4000億円)を超えるのを後押しした可能性がある。UBSグループの新たな推計が示唆した。
バランスシートの弱い企業向けの融資であるレバレジッドローン。長引く低利回りの影響で、こうしたローンの市場へと、投資資金は流れた。こうした融資の債権は、金利上昇を懸念する投資家に逃避先として購入が持ちかけられ、多くの場合、投資家を保護する目的で信用を補強し、ローン担保証券(CLO)に組成された。
ウォール街で最もホットな商品として注目されていたローンの市場にも、ひび割れが見え始めている。12日終了週には過去最大の25億3000万ドルが、レバレッジドローン・ファンドから引き揚げられた。またウェルズ・ファーゴとバークレイズは最近、4億1500万ドル規模の案件を取り下げた。シティグループが調査対象とする米レバレッジドローンのうち、額面を上回って取引されているのはわずか0.9%。つい数カ月前には70%を超えていた。
UBSによると、日本の銀行は最上級のトリプルA格付けのCLOを購入している。同等格付けの国債より利回りが高いからだ。過去数年にこのアセットクラスに流入した資金のうち、日本の銀行が約33%を占めていたという。この需要が弱まる可能性はあるものの、日本勢からの投資は最近売りを浴びている市場に安定を与えるかもしれないと、UBSは指摘する。
ティーブン・カプリオ氏らアナリストはリポートで、「日本勢による米ローン買いはそう簡単には崩れないだろう」と指摘する。「大半の日本の銀行は満期まで保有する。信用損失の見通しが鮮明になり、リセッションのリスクが今より大きく上昇する状況にならない限り、アウトライトの売りはかなり限られるだろう」と分析した。
UBSのデータと分析によると、日本の銀行は格付けがトリプルA級のCLOトランシュの半分から4分の3程度を購入する可能性がある。日本勢の買いがなければ、トリプルA級CLOのスプレッドは少なくとも2014年の水準に戻る、つまり50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大するだろうと、UBSが見積もった。

米企業の巨額債務を恐れ始めた投資家 クレジット市場に亀裂

ブル-ムバ-グ
クレジット市場に入った亀裂が広がっている。投資家は米企業の上にのしかかる巨額債務の重さを恐れ始めた。
圧力は10月に高まり始め、11月第3週に爆発した。投資適格債のスプレッドとジャンク(投機的格付け)債のプレミアムが2年近くで最も大きく拡大し、レバレッジドローン価格は2016年以来の水準に落ち込んだ。
BMOグローバル・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、スコット・キンボール氏は「年末まではかなりひどい市場になるだろう。転換点となると考えられるポイントが今から年末までの間にはない」と話した。
ゼネラル・エレクトリック(GE)の苦境が市場の不安に拍車をかけた。金利上昇に加え成長鈍化の可能性がある中で、巨額債務に起因する問題は社債市場全体に広がる恐れがあると投資家は不安を抱いている。
高格付け社債のデフォルト(債務不履行)に備える保証料の指標であるCDX投資適格指数は先週、3月以降で最大の上昇となり、16年11月以来の高水準に達している。

ここで、レバレッジドロ-ンについて知らない人に簡単ながらご説明を。
前回の金融危機時に、サブプライムロ-ンについて知らなかった人もいるでしょう。人間であれば、誰でも、無職無収入であろうと、住宅購入のための融資が受けられたロ-ン、それがサブプライムロ-ンの実態でした。
でも、企業向け融資はそんなことはないだろう、そう思いたいところですが、企業版サブプライムロ-ンと実態は変わらないレバレッジロ-ンが横行しているようです。
レバレッジドローンは、信用度の低い企業に対して複数の銀行が共同で行う融資のことです。通常の銀行融資(バンクローン)は、一つの銀行が一つの企業に対して行います。これに対して、複数の銀行が同一条件で一つの企業に実施する融資を協調融資(シンジケートローン)といいます。レバレッジドローンはこの協調融資の一種ですが、融資先の信用度が低く(格付けBB以下)、金利も高めに設定されたものを特にレバレッジドローンと言います。
米国や英国などではレバレッジドローンの貸付債権が証券化され、金融機関や機関投資家ヘッジファンドなど)により活発に取引されています。信用度が相対的に低い企業向けの融資ではあるものの、有担保ローンなので一定の安全性が確保されています。そのためジャンク債に比べると利回りは低くなりますが、投資適格債よりは高金利が魅力的です。
そのため、レバレッジドローン市場は急激に取引量が増え、2018年11月にはついにジャンク債市場の規模を上回りました。世界的な低金利で資金運用難の時代ですので、レバレッジロ-ン市場に大金が集まったわけです。これが次の信用危機(クレジットクランチ)の引き金になるのではないかと危惧されていますが、今のところ米国経済は強弱入り交じりながらも好景気が続いていますのでまったく相手にされていません。
しかし、すでにイエレン前FRB議長がそのことに懸念を示す発言をしていますが、そういったことに耳を傾けようとしている者は私fxdondonを含めて未だ少数でしょう。
歴史は繰り返される、しかし同じ危機は起きない、それが経験則です。銀行も無職無収入、無資産の者への住宅ロ-ンは行っていない。もうズサンな個人向け融資は行わない、その教訓は生かされているようです。しかし、ズサンな企業向け融資は行われてしまった、それも巨額かつ証券化金融商品として世界の金融機関や投資家へ出回っている。
個人的に想定しているニ-マルショック、これはあくまで仮称です。何が致命的なものになるかがわかないため、今はまだ仮称にするしかありません。
ブレグジット、米国と中国の覇権争い、未曾有の世界的債務残高膨張の中での上記劣悪要因、株価・地価に観られる資産バブルなど、「点」でのリスクは世界中に散在しているものの、「点」と「点」がどう結ばれ、どう描かれていくのかはこれからの展開で特定していくしかありません。
ただ、ニ-マルショックでは、上記のレバレッジドロ-ン証券(金融商品)やジャンク債などが大きく関与してくるものと観ていますが。