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バリュートラップ(割安の罠)

ロイター BREAKINGVIEWS
世界の株価は既に割安になったのだろうか。株価の急落を受けて投資家は株価バリュエーションを注視しそうだが、「バリュートラップ(割安の罠)」に陥らぬよう用心が必要だ。
経済学者ロバート・シラー氏が編み出した景気循環調整後の株価収益率(PER)、すなわちCAPEで見ると、米国株はまだ恐ろしく高い。CAPEは過去10年間の平均利益に対する現在の株価の倍率で、S&P総合500種株価指数の場合、11月時点で30倍を超えている。これは米国株が暴落を始めた90年前の水準に並び、1999─2000年のドットコム・バブル期に記録した40倍強に次いで過去2番目に高い。
注意すべきは、アナリストが景気サイクルのこの局面で、常に楽観的過ぎる見通しを示してきたことだ。利益の元となる売上高は通常、名目成長率に遅行する。そして来年の成長率は減速する可能性がある。米供給管理協会(ISM)の製造業景気指数など、景気先行指数にも頭打ちの兆しがうかがえる。
米国以外はどうだろうか。欧州と新興国市場の予想利益に基づくPERも過去10年の平均並みである上、米国より低い水準が維持されている。ただ、新興国市場は銀行や大手ハイテク企業への依存度が高く、米国株がよろめくと過剰反応する傾向がある。
実際のところ、予想PERで見て比較的割安に見えるのは英国と日本の株だけだが、それも通常以上の不透明要因に覆われている。2019年にはナイフが何本も落ちてくる恐れがあり、安全な投資先は見当たらない。 

さて、NYダウ平均は496.87ドル安の24100.51ドル。
バルチック海運指数とクロスした。
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ヒトは、バブル経済に浸ると、それが普通の状態であると錯覚に陥る。景気には循環サイクルがあることなど忘れてしまう。特に、一般のヒトは。
ただし、企業経営者やエコノミスト等の観方は異なる。やはり、過去の経験則からの観方が強い。

ロイター調査によると、今後2年以内に米国が景気後退(リセッション)に陥る確率は予想中央値で40%と、1カ月前の前回調査時の35%から上昇し、参加したエコノミストに質問を開始した今年5月以降で最も高くなった。リセッションの予想確率がこれほど上がったのは、リーマン・ブラザーズ破綻8カ月前の2008年1月以来となる。

ムーディーズ・アナリスティック社のMark Zandi氏(チーフアナリスト)
過去の統計から、完全雇用状態を迎えて3年後にリセッションが始まる。失業率4.5%以下を完全雇用状態と定義しています。よって、2020年夏頃にリセッション入りするとの予想。
また、FRBは景気過熱を警戒するあまり、往々にして短期金利を強く押し上げ過ぎ、逆イールドを発生させ、その結果リセッションを迎える。昨今の逆イールドはリセッションのシグナルとしては役に立たないとの主張が見られるが、依然として有効な先行指標だと考えている。

顧客預り資産29兆7千億円を誇るグッゲンハイム・パートナーズ
投資部門会長兼グローバルCIO スコット・マイナード氏
「歴史的に見てリセッションはFRBが利上げを終了して約6ヶ月後から始まる。今回FRBが利上げを終えるのは2019年末なので、2020年第2四半期がその時だ」
「2018年10月の株価急落は単なる調整でありマーケットは平常運転だ。2020年にリセッションが始まれば、高値から40?50%の下落を見ておく必要がある」

エネルギー市場の専門家
米国経済が景気後退に陥る確率は、2020年末までに50%強になると予想している。

次回のリセッションは、直近のものとは全く異なると考えられる。先ず、次回のリセッションには、サブプライム・ローン問題は関係していない。さらに、米国の銀行は資本の充実度を高めている。また、米国の住宅市場では、その多くが極端な評価価値の水準に達していない。欧州の銀行にはいくつか課題が残っているが、ECBはゼロ金利政策を敷いており、銀行が破綻する可能性は低い。
次回のリセッションは、2008年の金融パニックとは異なり、企業と消費者による支出縮小が相互的に作用するものになると考えられている。
米国の景気拡大は徐々にではなくピタッと止まる。景気循環の後期にある場合、サプライズに影響されやすくなるという観方もある。