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米国 量的緩和(QE)を再導入か

債券ファンドの運用者らは米連邦準備制度量的緩和(QE)を再導入する可能性についてささやき始めた。前回の米利上げから3カ月もたっていないにもかかわらず、世界経済の成長鈍化に対する懸念の大きさが浮き彫りになっている。
コロンビア・スレッドニードルのジーン・タヌッツォ氏は、リスクの高まりで世界の中央銀行がより緩和的な政策へと方向転換し、米当局が2020年に債券購入を再開する可能性が高まっていると指摘する。
ファースト・パシフィック・アドバイザーズのトマス・アテベリー氏は、米経済が1、2年以内にリセッション(景気後退)に陥ると予想、QE再開見通しの下に残存期間3~4年の米国債を買っている。10~15年で償却される住宅ローンも購入しているという。
短期債のトレーダーらは既に、2020年は利下げの可能性が最も高いとみている。しかし、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現在2.25~2.5%のため、当局にはそれほど利下げ余地がない。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は先月、次の景気減速時には資産購入を最後の手段としてではなく、より定番の政策ツールとして活用する可能性があると語った。
タヌッツォ氏は「世界の情勢は引き続きかなり懸念される状態だ」とし、「欧州はリセッションの瀬戸際にあるかもしれず、中国は10年ぶりの低成長。これが続けば米経済に影響が出るのは必至で、20年にはQEがあるかもしれない」と語った。(ブルームバーグ

米連邦準備制度理事会FRB)は20日、2019年の利上げを見送る方針を示した。これまで独り勝ちを続けてきた米国経済の鈍化が浮き彫りとなったことで、日本銀行の金融政策も影響を受ける可能性が強まっている。景気が一段と悪化すればFRBの「次の一手」は利上げではなく利下げになるとみられ、日米の金利差縮小による円高を防ぐため、日銀も追加緩和を余儀なくされるからだ。
日銀は大量のお金を世の中に供給する大規模金融緩和で住宅ローン金利などの目安となる長期金利を0%程度に誘導している。米国の利上げで金利が高いドルで運用した方が、円より利益が出るため、これまで円を売ってドルを買う円安方向の動きが強かった。ただ、米国の年内利上げ停止で円売りの流れは弱まる。
金利先物市場ではFRBが来年利下げするとの観測が強まっており、「2020年に1回利上げする」との経済見通しは既に疑われている。イエレン前FRB議長は今年2月、米テレビ番組で、中国や欧州の景気減速が米国まで及べば次の行動は利下げになるとの見方を示していた。
米国が利下げに転じれば、日米の金利差は逆に縮小し円高が加速する。ただでさえ米中貿易摩擦の悪影響で輸出が減退している国内企業の業績は一層の下押し圧力にさらされそうだ。
日銀が持つ追加緩和の手段は限られており、市場関係者は副作用が比較的少ない上場投資信託ETF)の買い増しによる株価下支えを有力視する。ただ、米利下げのショックを吸収するには、金融機関の経営体力を奪うマイナス金利政策の深掘りなど「劇薬」が求められるとの指摘もある。(サンケイ)