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金融緩和政策にだけ頼る株式市場、危うい綱渡り

コモディティ王の異名をもつ著名投資家のデニス・ガートマン氏
来週のFOMCについて、市場の受け取り方から考えて0.25%の利下げしかありえず、それ以外なら悲惨な影響が及ぶという。
米国や世界の低金利により、選択肢なく株式市場に資金が来ている。現在の株式市場は好調な企業収益が動かしているのではなく、単にトレンドが延長しているだけだという。
現在の市場環境が「業績相場」ではなく「金融相場」であり、他に選択肢がないから米国株が買われているという考えでいる。
当然、金融相場においては金融政策の及ぼすインパクトは大きくなる。今月30-31日のFOMCで、FRBが何もしなければ株式市場は悲惨なことになるが、FRBが0.5%の利下げすれば市場はこれも悪くとるという。

ブル-ムバ-グ
米金融当局は、これまで過去の景気拡大の息の根を何度も止めてきた張本人とされてきた。FRBのイエレン前議長も、インフレ抑制のための利上げがそうした事態を招いた歴史を認めている。
しかし今や、7月1日で10年1カ月と、1854年に遡って過去最長を更新したことになる現行の拡大局面をさらに息の長いものにするため、米金融当局が頼りにされ、パウエルFRB議長率いる当局者もそうした役割を認識している。
そして、多少の下振れリスクにもかかわらず、米金融当局はリセッション(景気後退)回避に成功すると、エコノミストは広く予想する。
米金融当局は7月30、31両日に開くFOMCで利下げを決めると予想されており、世界的な成長鈍化や通商摩擦の影響に対処するため利下げ幅は0.5%になるとの観測もある。
ヘッジファンド運営会社ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントの米国担当チーフエコノミストは、景気てこ入れとインフレ加速に向けて計1.25%利下げする可能性もあるとしている。
バンク・オブ・アメリカBOA)の世界経済調査責任者は「米金融当局が今利下げする主なプラス面は、昨年10~12月期(第4四半期)に経験したような株式市場の調整の再現を防ぐことだろう」との見方を示した。
それはある意味、いわゆる「グリーンスパン・プット」の逆バージョンとも言えそうだ。相場急落時にはグリーンスパンFRB議長(当時)が救済に乗り出してくれると、投資家の間で信じられてきたが、今回の場合は、パウエル議長がそもそも大幅下落が起きること自体を予防してくれるものと、投資家は期待しているというわけだ。
米経済の成長を維持するために連邦準備制度が来年の早い時期までに0.75ポイントの保険的な利下げを行うとの見通しにトレーダーは傾いているが、そのような見方は1990年代の経験に基づくものであり、もはや現状に合っていない可能性があるとBMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ジョン・ヒル氏が指摘した。「誰もが前例のあるシナリオを探しているが、現実にはニューノーマルの状況にある」と述べ、 「今回は事情が異なる。政策担当者がリセッション(景気後退)を回避できるシナリオでも、1%か1.25%の利下げを考えるべきかもしれない」と語った。
リポートで、7月31日のFOMCの決定から始まると予想される緩和サイクルでは、0.25%の利下げが計3回あるとの見方を市場参加者から聞いていると説明。しかし今回の局面は、リセッションがない状況で利下げした米金融当局の以前の取り組みとは異なる様相になりつつあるとBMOのストラテジストらは分析した。
インフレ連動国債(TIPS)に反映される米国のインフレ期待が、米金融当局の目標である2%をなお下回り続けていることも、違いの一つだ。市場に織り込まれた利下げ幅ではインフレ押し上げに不十分とのトレーダーの見方をうかがわせる。また、米政策金利は現在2.25-2.50%であり、過去に緩和サイクルが始まった1995年の6%や98年の5.5%に比べてはるかに低いという明白な違いもある。
このため現状では、効果を生むには、以前の保険的な利下げよりも大幅な緩和が必要になりそうだというのがBMOの見解だ。