菅新政権下の円相場、日米関係の安定維持が重要に-JPモルガン
ブルームバーグ
菅新政権の金融政策に対するスタンスとは関係なく、現状の円安水準を維持するのは難しいが、ドル安が予想される中、大幅な円高を阻止するためには良好な日米関係を維持することが重要、とJPモルガンはみている。
佐々木融市場調査本部長らは、菅新政権が安倍政権の経済対策を継承し、一定程度の長期政権が期待されるとの前提で、今回の政権交代が円相場に大きな影響を与えるとすれば日米関係が変化した場合だ、と15日付リポートで指摘。11月の大統領選挙で米政権が交代する可能性もあり、米中関係も微妙な中で日米関係が不安定化すれば、ドル・円が大きく下落するリスクもあるという。
過去の日米関係から為替市場をみると、クリントン政権では日米貿易不均衡是正のための口先介入によりドル・円が大きく下落、オバマ政権下では米為替報告書での日本の監視リスト入りなどで円高が進む局面があった。一方、安倍-トランプと同様に個人的な関係が比較的近かった小泉-ブッシュ時代は、ドル独歩安の中でもドル・円は比較的高水準を維持していたと解説している。
また、「介入が円相場の水準ではなく、日米関係の影響を強く受けていることは明らかだ」とも指摘。小泉政権下では、現在より円安水準だったにもかかわらずほぼ毎月大量の円売り介入が行われた時期があったが、民主党政権に代わった09年から10年にかけては、1ドル=80円台まで円高が進む中でぎりぎりまで介入は行われなかった。