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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

為替相場予想記事から

為替相場展望
2019年7月
日本総研・調査部
6月7日発表の米5月雇用統計の下振れなどを 受けて、FRBの利下げ観測が強まり、107円台ま でドルが下落したものの、7月5日発表の米6月雇用統計は市場予 想を上回る結果となり、108円台半ばまでドルが上 昇。
米国では、既往の拡張的な財政政策の効果が減衰し、さらには海外経済の減速や貿易摩擦が景気の重石となるなかで、成長ペースは2018年央をピークに減速傾向。ニューヨー ク連銀が公表するNowcastは、直近4~6月期の成長率が2%前後とみられる潜在成長ペースを下回っ ていることを示唆。加えて、薬価引き下げや家賃の伸び悩みなどもインフレ抑制要因となるなかで、コ アインフレ率がFRBの目標である2%を下回って いるほか、家計のインフレ期待も低下傾向。
ただし、過去の景気後退時のような本格的な利下げ局面とはならない見通し。対中関税第3弾の関税率引き上げまでの既往の関税措置による景気へのマイナス影響は限定的にとどまり、FRBの利下げが景気下支えに作用することで、景気失速は回避される見込み。6月に公表されたFOMC参加者の政策金利見通しが、来年末にかけて最大2回(1回当た り0.25%ポイントの場合)の利下げを想定する内容となる一方で、市場は年内だけで2回強の利下げを織り込んでおり、FOMCの想定内の利下げにとどまる限り、大幅な円高ドル安進行には至らない公算大。
ユーロ円相場は、ECB、日銀ともに金融政策の正常化が遠のく一方、金融緩和余地も限られているため、総じて みれば横ばい圏での推移が続く見通し。 ただし、欧州の政治情勢や中東の地政学リスクなどに対する懸念が強まる場面では、リスク回避の動きにより、一時的に円高ユーロ安に振れやすくなる見込み。

Market Flash / 市場分析レポート
第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
日経平均底堅い企業業績を背景に 、先行き12 ヶ月は 23000 近傍で推移。
・ USD/JPY は米利下げ観測が浮上する中、先行き12 ヶ月で105円へと下落 。
・日銀は現在の YCC を 2020 年末まで維持するだろう 。
FED は年内利下げに転じる見込み。
FEDの利下げに伴い「日米金利差縮小→円高」という連想が働きがちだが、為替の説明において日米金利差が絶対的存在ではないことを再確認したい。日米金利差は、ごく短期間(数時間~ 数週間)の為替変動には高い説明力を持つが、長いタームの変動を説明するには限界がある。
日々の相場解説でみられるような「日米金利差拡大を受けてドル 高・円安に推移」、「おカネは金利の低い通貨から高い通貨に流れる」といった関係が成立するならば、この間のUSD/JPYが一貫して円安・ドル高となっても不思議ではない。しかしながら、現実のUSD/JPYは長期にわたって下落し、そして興味深いことにその下落率は年率3%程度と結果的 に金利平価説(カバーなし)が成立してきた。金利平価説とは、金利水準の異なる2国間のどちらの通貨に投資しても同じリターンになるように為替レートが調整されるという理論。つまり金利の高い通貨ほど通貨安、金利の低い通貨ほど通貨高という関係が成立する。これは「FEDの 利上げ→日米金利差拡大→USD/JPY上昇」という考え方とは真逆である。こうしたパズルから言えることは、日米金利差は絶対的存在でないということ。
日米金利差は日米インフレ率格差に近似し、それは購買力平価から導出されるト レンドに近くなる。したがって短期では「高金利=通貨高」の関係が成立したとしても、 インフレ率と金利が「米>日」である以上、長期・超長期では購買力平価金利平価説に基づきUSD/JPY の理論値は円高方向に力が働くことになる。

お~、私fxdondonと同じ考えを展開するエコノミストさんですね。
この人の名前を憶えておきましょ(笑)
普通は、上記の日本総研のように日米金利差など金利を前提に為替相場を語ります。それが悪いとか否定するつもりもありません。目先、短期的にはそのように動きますからね。
ただ、為替相場金利とか経済(景気拡大、後退)とかの要因は目先の事象でしかなく、インフレの度合いやその国の通貨の発行供給量によって長期的には決まってくる。それは特に高インフレ国通貨の価値を観れば明らかです。アルゼンチン、トルコ、南アフリカなどの対円相場の推移を観れば、下落し続けていることが確認できます。
第一生命のエコノミストさんにご助言するとすれば、ドル/円は米国の財政赤字によってある程度決まると申し上げておきます。政府による国民や企業へのドル供給過多(財政赤字のことですね)はドル安に作用します。これは、中央銀行FRB)によるドル供給とは違い、国民や企業に直接おカネが行き渡りますので、消費よるドル価値の減価や1ドルあたりのドル価値の希薄化がドル安へとつながりやすくなります。
中長期を見据えたトレ-ダ-にとっては、インフレと米国の財政赤字動向に注目しておけば、大局的な動きは推測できるでしょう。

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