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米利下げ予想確率上昇、雇用統計受け=金利先物

ロイター
2月の雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びが2万人と予想を下回り、2017年9月以来の低水準だったことを受け、金利先物市場で利下げ予想が強まった。
CMEグループのフェドウォッチによると、米東部時間午前8時半(日本時間午後10時半)時点で、金利先物市場が織り込む12月会合での利下げ予想確率は30%近くと、前日終盤時点の19%から上昇した 。


気の早い市場は、もう利下げを織り込もうとしています。
しかし、利下げするには、まだ米国経済の状況からして時期尚早。今回の雇用統計だけでは不十分。
第3四半期に経済成長がピタッと止まることで、利下げが正当化されるのか。

ロイター
FRBの金融政策は、厳格なルールに基づいてではなく、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの裁量によって決定される。とはいえ、類似する経済データを見れば政策担当者は同じような政策手段を選びがちなので、政策金利はきっちり定義された循環に応じて動く傾向を持つ。
FOMCが一連の利上げの後にリスクバランスを見直しながらいったん立ち止まった場合、通常は次に利下げが実施される。そしてFOMCが利上げを休むのは、景気拡大が成熟段階に達し、債券市場で長短利回りの逆転(逆イールド)が起きる恐れが出てきて、物価は落ち着いた様子を保ち、成長ペースは緩やかという局面であることが多い。
この段階までに主要な景気循環指標、例えばISM製造業指数などはピークを過ぎて下がり始めているのが普通だ。もし景気拡大ペースがさらに減速するか、足踏み状態(ソフトパッチ)になれば、総じてFOMCは成長を持続させるために利下げで対応する。
はっきりしたインフレ圧力がなければ、政策担当者は物価抑制よりも成長維持を優先目標とすることが可能で、利下げを正当化できる。

過去数十年を見ると、FRBがある程度の期間動きを止めた後で利上げを再開したことは滅多にない。
ウィリアム・ダドリー前ニューヨーク連銀総裁は違った見方をしている。6日にブルームバーグで「次の一手は、時期こそ後ずれするにしても依然として利上げになる。今年の米経済はすう勢より上振れるとみている。第1・四半期は政府機関閉鎖や貿易を巡る不透明感、低調な規模の税還付金などが成長を抑えるので、そうした証拠は出てこないだろう。その後、状況はもった明るくなりそうだ」と論じた。
さらにFRBにとって利上げに「忍耐強くなる」という姿勢は「打ち止め」を意味しないと主張した。確かに政策金利決定の過程については、ダドリー氏ほど直接的な情報を得られるアナリストはほとんどいないという面もある。
ただ1年ないしそれ以上利上げを休んだ後に再開すれば、相当異例なケースになるだろう。
現在米経済が置かれている状況は、1997─98年に政策金利がいったん据え置かれ、98年9─11月に計75ベーシスポイント(bp)の利下げが実施された場面と似通っている。
98年にFRBは国内の成長減速と、アジア金融危機に起因する世界経済の弱さが米経済を圧迫する恐れを指摘。当時のグリーンスパン議長は9月のFOMCで、米経済は底堅く推移しているものの、景気の弱まりを示唆する断片的な情報が増加していると説明した上で、その1週間後に利下げを発表し、11月までにさらに2回実施した。
この98年の利下げを受け、米経済はかろうじて景気後退(リセッション)を回避し、ハイテクバブルに沸いた2000年まで拡大を続け、リセッションに突入したのは2001年4月だった。
今は失業率が非常に低水準になっていることや、物価上昇率の低さ、債券市場が逆イールド寸前、世界経済はさえないといった点でも1998年を彷彿させる。
当時の方が世界経済と金融市場の緊迫度は高く、米経済への悪影響の波及具合も明白だ。しかし国際通貨基金IMF)などは最近、今年は世界的に経済見通しが「脆弱」だと警鐘を鳴らし、金融市場はリセッションの可能性に対する警戒感を強めていることが分かる。
こうした環境であれば、一段の弱気サインが出てくれば、FRBがそれに対応して景気拡大を途切れさせないために利下げするというシナリオは容易に想定できる。
もちろん米経済が一時的なソフトパッチを乗り越え、今年後半には潜在成長率を上回る成長ペースが続き、来年に物価が押し上げられるリスクが生じてFRBに再び利上げを促す事態もあり得る。
米国と中国が貿易協議で合意に達すれば、株式投資家や企業経営者を覆っていた不透明感の重要な原因の1つが取り除かれる。急減速していた欧州とアジアの経済が持ち直すとともに、世界的に貿易はまた加速してもおかしくない。
また原油価格が上昇基調に戻るかもしれない。消費が増え、石油輸出国機構(OPEC)の減産に伴って需給が引き締まるからで、それは世界的な物価上昇圧力をもたらすことになる。
こうした展開になれば、ダドリー氏の正しさが証明される。つまりFRBはまだ利上げを打ち止めにしないだろう。

現在の米景気拡大は既に117カ月に達しており、今後1991─001年に記録した過去最長の120カ月を超える可能性はある。
しかし全体的に見て、多くの投資家はFRBがしばらく政策金利を据え置き、今年終盤か来年に景気の弱くなるのを踏まえて利下げすると考えている。