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FRB 来年にもQE再開か?

今回のFOMCは、市場の考えに近かったため、問題も無く消化。
為替相場も小動きでした。
ハト派筆頭のセントルイス地区連銀のブラード総裁が、今回会合での利下げを主張して現状維持に反対票を投じ、パウエル議長体制下で初めて全会一致が崩れたのが、今回の押さえどころか。
7月末に開くFOMCで利下げを決めるかどうかは、経済指標の結果次第。
FRBは「物価の安定」と「雇用の最大化」の達成を目標としているわけですから、インフレ指標と雇用統計結果には注目です。
ただ、今回の場合、G20でトランプとキンペ-が「関税戦争」の停戦に持ち込めるかどうかに注目されているようです。それは、「終戦」ではなく「停戦」。米中覇権を問う戦争に終わりはありませんので。

ウォ-ルストリ-トジャ-ナルの経済担当チーフコメンテーター見解
完全雇用と物価安定の他に、FRBにはあまり知られていない別の責務がある。経済において「大人の存在」であれということだ。米国内外の予測不可能な動きによって情勢が激しく変化する現在のような状況ではとりわけそうだ。
パウエル議長の仕事は、利下げの是非を決めるだけなく、その決定が考え抜かれた妥当なもので、政治とは無関係だと受け止められるようにすることだ。
経済成長:民間の予測によると、成長率は3月までの1年間の年率3.2%から4-6月期(第2四半期)にはその約半分に鈍化する見通し。4月までの1年間に平均で月間21万2000人増加した雇用の伸びも、5月は7万5000人に急減速した。10年債利回りは3カ月短期証券(Tビル)利回りを下回り、これまでリセッション(景気後退)の前触れとなってきた長短金利の逆転(逆イールド)が発生した。株式相場はそこまで売り込まれていないが、それは利下げ期待が投資家心理を支えているからだ。
しかし、現在はイールドカーブ以外に景気後退を警戒すべき兆候はほとんど見当たらない。これは、FRBにとって、利下げの用意はあるものの、必ずしも早急に利下げに踏み切る訳ではないという考えを示唆する根拠になる。
インフレ:コアインフレ率(変動の大きい食品・エネルギー除く)は1.6%の上昇にとどまり、FRBが目標とする2%を大きく割り込んだ。消費者がこの水準にインフレ率が張り付くと予想すれば、その予想は自己実現的になり得る。
人手や生産能力の不足が賃金と物価を押し上げるまで景気を過熱させ、2%のインフレ率を取り戻す可能性があるが、現在の成長ペースでは起こりそうにない。
貿易:これはパウエル氏が政策を決める上で最も厄介な要因だ。実際の戦争と同様に、貿易戦争は「起こるか起こらないのか」のいずれかである二進法的なイベントだ。米中が打撃の大きい決裂に向かうかどうかは、6月28〜29日に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、トランプ氏と中国の習近平国家主席が合意できるかどうかにかかっている。
これは、2003年初頭にFRBが直面していた状況に不気味なほど酷似している。当時は、経済成長が低迷し、米軍がまさにイラクに侵攻しようとしていた時期だ。「イラクの石油を巡る不透明感や他の地政学リスクなどにより、われわれの不確実性の度合いは著しく高まった」。当時のアラン・グリーンスパン議長は3月18日の会合で、FRB当局者にこう述べている。グリーンスパン氏は利下げに傾きながらも、「向こう数週間に経済動向に関してかなりの理解を得られる」として、利下げに踏み切らないよう忠告した。その翌日、戦争が始まった。FRBは6月、利下げを決めた。

今回、米中関税合戦、貿易戦争がG20で停戦となるか、そこに注目。
そして、利下げのことばかりが注目される中、量的緩和(QE)の動向が個人的には気にかかります。
FRBによる量的緩和(QE)は終了したはずだが、早ければ来年にも大規模な債券購入が再開されると観るアナリストもいる。購入は米国債に限定されるが、その規模は金融危機に対応した際の規模を最終的に上回る可能性があるという。ウェルズ・ファーゴの試算によれば、当局のバランスシートは過去最高水準を超えて膨張し、今後10年間で上積みされる米国債保有高は2兆ドル(約220兆円)を超える。
これは量的緩和ではない。経済成長を押し上げるために長期金利を低く抑えようとする狙いではなく、FRB保有するモーゲージ債を償還到来に伴い、徐々に米国債に置き換えることで、銀行システムに十分な準備を維持することが目的だという。しかしながら、それがもたらす効果は結局のところ量的緩和とさほど変わらないとの指摘も一部にはある。
TDセキュリティーズの金利戦略グローバル責任者は「この10年間にマーケットに関わってきた人なら誰でも、QEの空気を感じるだろう。FRBは再び、米国債最大の買い手になる。しかもポストQEの時代にだ。米国債の市場力学において非常に強気な要素となる」と考えている。
個人的には、米国の利下げもさることながら、QE再開による米長期金利の低下で、ドル/円ではドル安円高に誘導されるものと観ています。
米国の利下げとQE再開は、きっとドル高相場そのもの転換となるでしょう。