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石油消費は国家財政に大きく影響する

日経新聞
【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアを中心とする石油輸出国機構OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は日本時間13日未明に開いた緊急テレビ会議で、日量970万バレルという異例の協調減産で最終合意した。OPECプラスはこれをテコに、米国など枠外の産油国に、あわせて日量300万~500万バレルの負担を求める。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の急ブレーキで世界の原油貯蔵能力が限界に近づくなか、主要な産油国が一転して協調に動き出した。
協調減産は異例ずくめだ。過去のOPECOPECプラスの会合では日量200万~300万バレルの生産調整で激しく紛糾してきた。今回合意した減産は、ロシアやサウジの現在の生産量に匹敵するほどの破格の規模だ。
しかし、異例の減産協力をもってしても供給過剰を止めるのはむずかしい。足元では日量2000万~3000万バレルの供給過剰がある。新型コロナウイルスの感染力や致死率は、地域によって大きなばらつきがあり、危機がいつ収束するのか見通せない。
貯蔵の能力が限界を超えると、石油市場は深刻な危機に直面する。採算割れとなる産油国は操業を停止するしかない。設備を無理に停止させると、油田の採掘可能年数が短くなるリスクがある。生産の再開にもコストが伴う。
一部の産油国は、あふれた原油を引き取ってもらうため、業者に手数料を支払うことになる。原油の種類によっては価格が事実上のマイナスに転じる可能性がある。


人々が消費しない(できない)不況は、かつても存在した。不況とは、そういうものである。しかし、人々が外出できない不況はかつて経験したことがない。

まず、原油(石油)の消費割合を調べてみた。ざっと、火力発電など熱源利用が40%、自動車や飛行機等の動力源利用が40%、プラスチックやゴムなど石油化学製品の原料等利用が20%だそうだ。

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この中で、動力源利用が最も減少するでしょう。外出できない不況は、ヒトの移動に消費される石油が激減することは目に観えている。自動車、飛行機、船、などの燃料消費はかなり減少する。

石油消費が国家財政に大きく影響することを知らない人も少なくない。不況に陥れば、法人税所得税の税収が減るから国家財政が苦しくなるという、分かり切った理由だけではない。
例えば、ガソリン価格。この内訳は、ガソリン税・石油税・消費税が半分を占める。つまり、ガソリン消費が直接税収に影響するということも見逃せない。
現在、コロナ対策や不況対策で大きな財政出動により財政悪化が叫ばれている。例えば、財政支出1兆ドルが膨らむから財政赤字が1兆ドル膨らむという報道があったりする。しかし、それは間違い。財政収入(税収)がまったく加味されていないのである。財政支出が1兆ドル増える上に財政収入が1兆ドル減るのなら、財政赤字は2兆ドルに膨らむということになる。
今後、国家財政に注目される国にとっては辛い時期に差し掛かっている。南アフリカ財政、この先どうなるのか非常に興味深い。もちろん、ネガティブな意味でだが。