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インフレに潰されるトルコ

一般に、長短金利の逆転は今後の景気後退を示唆しているとされる。社債などのデフォルトリスクのある債券では、デフォルト直前に長短金利の逆転がよく観察される。
しかし、デフォルトせずに、ここまで踏ん張っている国がある。それは、トルコである。

まずは、トルコ国債の利回りを示す。 (5月2日現在)
トルコ 1年債 14.000%
トルコ 2年債 14.110%
トルコ 3年債 13.870%
トルコ 5年債 13.410%
トルコ 10年債 12.540%
となっている。

まず、利回りだが、今ではギリシャの方が健全だと、国債の利回りからはそう示している。
 
ギリシャ 2年債 1.344%
ギリシャ 10年債 3.924%

ギリシャ債務危機が騒がれた際には、10年債利回りが30%を超えていたのだが、今では沈静化している。
ここから言えることは、トルコは現状 「まとも」 な国ではないということが大前提です。
政治的には、エルドアン大統領の「独裁化」が進展する中で、トルコの将来を悲観した高学歴層や富裕層が国外へ流出する動きが治まらず、政権による弾圧で1万人以上もの学者やエリ-ト層が失職し、その人たちが欧米に移り住むようになっていると、新聞では報道されている。トルコの頭脳たちが、国外へ流出してしまっていると言える。
さらに、トルコ経済が成長拡大していることはたへん結構なのだが、トルコのエネルギー需要は急速に増加している。原油消費量の 90%以上およびかなりな量の石油製品を輸入に依存している。その依存先は、イラン、ロシア、イラクサウジアラビアであるが、要は反米諸国との結びつきが強い。
トルコは原油の純輸入国であるのに加え、トルコ国内の石油精製能力が不足しているため、石油製品全般についても純輸入国である。
そのため、これからますます原油価格、石油製品価格が上昇する中、トルコのインフレはさらに進むことになる。トルコリラはインフレによる通貨価値減価により、より高い石油を買わなくてはならない。そのため、さらにインフレ高進するという、負のスパイラルに陥る構造になってしまっている。
そのことは、貿易について輸入過多になること示す。経常収支では赤字が続き、今後は赤字拡大をもたらす。その赤字は、対外債務に依存するという、これもまた負のスパイラルに陥っている。トルコを生かすも殺すも、諸外国ありきということになる。そのような中、米国と疎遠になっている状況は、冒頭に書いた通り、国債利回りはデフォルトリスクのある状況そのものである。
トルコでは、6月に総選挙が行われるが、大統領に再度エルドアンが選ばれるようであれば、「まとも」な国には生まれ変われないと思っていた方がいいでしょう。

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