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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

厳しい産油国

原油先物価格の急落を受けて、産油国は対応を迫られています。原油価格の低迷が長期化すれば国の財政や経済がさらに大きな打撃を受け、社会不安が広がるなどの深刻な影響が懸念されるからです。
サウジアラビアが主導するOPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国は、原油価格を引き上げるため、すでに今月12日、世界の原油生産量のおよそ1割に当たる1日あたり970万バレルを協調して減産することで合意し、5月から減産を開始することになっています。
また、世界最大の産油国アメリカなども生産量を減らす見通しになっています。
しかし、IEA=国際エネルギー機関は、「短期間での急激な需要の減少を供給面から解消できるほどの合意はない」として、新型ウイルスの感染拡大の影響で需要が一気に大きく落ち込んだ現状では、産油国が減産をしても需給のバランスをとるのは難しいという認識を示しています。
OPECと非加盟の産油国の一部は原油先物価格の急落を受け、21日に非公式のテレビ会議を開いて対応を協議しましたが、ロイター通信は、協議の鍵を握るサウジアラビアやロシアは参加せず、減産の開始時期を早めるなどの具体策は打ち出されなかったと伝えています。
また、OPECなどの産油国の間では、協調減産の枠組みに参加しない産油国との間で減産の協力についての明確な合意がない現状では、今後、自分たちだけでさらなる追加の減産を行ったところで市場でのシェアを一方的に失うだけだという警戒感が根強く、難しい状況に置かれています。

ブルームバーグ
アジア時間帯22日午後の取引で、ICEフューチャーズ・ヨーロッパの北海原油代表油種ブレント先物相場が一時1バレル=16ドルを割り込み、1999年6月以来の約21年ぶり安値を記録した。
北海ブレント先物6月限は一時1バレル=15.98ドルを付け、シンガポール時間午後1時28分(日本時間同2時28分)時点では15%安の16.35ドルで取引された。ニューヨーク原油先物相場も一時20%反発し、14ドル近くまで回復する場面があったが、その後下げに転じ、一時約9%安となった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限はその後5.2%安の10.97ドル。21日のニューヨーク時間帯の通常取引では、一時マイナス圏に突入した5月限が最終日を迎える中で、6月限も約43%急落し、11.57ドルで終了した。

5月限は限月交代を控えたニューヨーク時間20日の取引で、需要低迷に伴う貯蔵能力逼迫(ひっぱく)懸念から史上初のマイナス圏に突入し、1バレル=マイナス40.32ドルの歴史的安値を付けた。6月限も過去2営業日で50%余り急落しており、5月限と同じ道をたどるとの不安が広がっていた。
石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」の一部参加国は21日に非公式のテレビ会議を開催した。声明によれば合意には至らなかったが、米国市場での原油暴落と国際市場に及ぼす影響が話し合われたという。
今月の閣僚会合で決まった合計日量970万バレルの協調減産は5月になるまで実行されない。非公式会合に出席したイラク石油相は21日の声明で、供給過剰緩和に向けOPECプラスの追加措置を否定せず、さらなる対応が行われるかは国際市場の動向と協調減産の順守状況次第との認識を示した。

各地の貯蔵施設が満杯になる状況で、今の驚くべき原油の安値が定着する兆しが表れている。アンデュラン・キャピタル・マネジメントの創業者で従来から原油に強気のピエール・アンデュラン氏は、原油先物が再びマイナス圏に下落する可能性があると警告し、取引するには危険な市場だと形容した。
ライスタッド・エナジーのシニア石油市場アナリスト、クリストファー・ペイジ氏は「OPECの減産は助けになろうが、効果は限定的だ。グローバルな貯蔵能力の6月の供給展望も今や厳しく、WTIの6月限と7月限の価格がさらに押し下げられると予想する理由はそこにある」と指摘した。