欧州債務危機再発 やはりギリシャか
欧州で債務危機に陥ったギリシャへの、ユーロ圏などによる8年間に及ぶ金融支援は2018年で終了した。あとは、計画通り、金融支援の多額の借金を返済しなければならない。
昨年、ギリシャでは4年ぶりに政権交代した。新首相のミツォタキス氏は投資拡大や高賃金の雇用創出、減税を公約に掲げた。欧州連合(EU)の意向に従った長年に及ぶ緊縮策も放棄した。
その結果、ギリシャでは対外債務は一気に増加した。
(ギリシャ対外債務残高)
2018年までは対外債務の返済縮小に努め、ギリシャの健全化を世界に示していた。格付け機関も、格上げに動いた。
ところが新政権に変わり、現実より理想を追い求めるがため、それにはまずは資金が必要と、諸国から資金や出資を求めた。
「さぁて、これからだ!」という矢先、今回のコロナショックである。もちろん、新首相に責任があるとは言い切れないが、従来通り、債務縮小路線を歩んでいれば、これからの欧州債務危機の再発の可能性は無かったのか知れません。
(ギリシャの経常収支)
昨年夏季に経常収支では黒字に至ったものの、それ以降は赤字に転じた。
設備稼働率はまだ2月実績しか公表されていないが、それでも直近の最低稼働率と並ぶ。3月度の設備稼働率がどこまで下がるか見当もつかない。
ヒントとなるのは、ギリシャ3月の製造業PMI。2月の56を超える値から、3月は一気に43を割り込んでいる。
今、投機筋は「見て見ぬふり」をしています。誰の目から観ても、ギリシャの今後は持続不能と感じている。しかし、今はコロナウィルスの沈静化を理由に株式相場などをリスクオンに導きたい意図がある。
しかし、投機筋もさすがにギリシャの政府高官から「債務返済を少し待ってくれ」という発言が飛び出したら、喰いつかずにはいられない。
今は、ギリシャ政府からの弱音発言待ちといったところでしょうか。