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香港の人々 「我々は中国人ではなく、香港に住む英国人だ!」

10月1日中国が建国70周年の国慶節を迎える。トランプ大統領ツイッターで「中国が10月1日に建国70周年を祝うことを踏まえ、友好のしるしとして、輸入品2500億ドル分の関税引き上げを10月1日から15日に遅らせることにした」と投稿した。一方、米議会では超党派の議員が6月に提出したもので香港に約束された「高度な自治」を毎年検証する様に米政府に義務付ける法案が議論されており、その「香港人権・民主主義法案」を早期に実現させるような動きがある。また香港では「逃亡犯条例を全面撤回すること」、「平和的に行われたデモを暴動と定義しないこと」、「逮捕されたデモ隊の罪を撤回すること」、「職権を乱用した警察の暴行を追及すること」、「林鄭月娥行政長官は辞任し、民主的な選挙を実施すること」という5つの要求を掲げつつ、10月1日にも香港市民が大規模デモ行進を行う予定である。
香港の人々の間からは、「われわれは中国人ではなく香港に住む英国人だ」との声が上がり始めている。これはなぜなのだろうか。香港では1997年の中国への返還前から香港に住んでいた人には英国の海外市民パスポートが発行されており、今でも約300万人の人々が英国のパスポートを持っている。手荒な方法で中国から香港を取り込んだ英国に助けを求める動きが起きているという。よく考えれば香港は英国が統治したことによって人口は10倍以上に膨れ上がり、国際貿易金融都市としても飛躍的に発展したことからも、香港市民には英国による統治がむしろ良い記憶として心の中に残っていると考えられる。民衆との心の溝を埋めようともしない共産党政権によるガバナンスよりも英国植民地統治の方が香港市民にとってはよほどましだったのかもしれない。
香港基本法第5条には英国との間の約束である50年間は資本主義、つまり一国二制度でなくてはならないという取り決めがあるものの、実は香港基本法第159条には中国政府が恣意的に改正できるとも記されており、法的にも中国の恣意的判断で一国一制度に持っていくことが可能なのである。香港、台湾の動向から目を離すことはできない。