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米中確執

新型コロナウイルスの世界的感染拡大の中、中国政府は、国を挙げたハイテク発展戦略「中国製造2025」を継続し、新たな研究プロジェクトの選定作業を始めたという。こうした中、米国商務省は、「外国で製造した半導体でも米国製の製造装置を使用している場合には、米国の許可なしにファーウェイに輸出することはできない」などとする輸出禁止措置策の強化を打ち出した。
これを受けて最先端製造ラインを持つ台湾のTSMCはファーウェイからの新規受注を停止させた。現在、ファーウェイにとって最先端のCPUの委託ラインを持つファウンドリーはサムスンとTSMCの2社だけだったが、ファーウェイはサムスンに製造を委託する選択肢以外の道が閉ざされた格好となった。
ファーウェイは5Gで米国を出し抜き、ハイテク覇権を握ることを画策していたが、スマートフォンでは競合関係にあるサムスンがファーウェイの半導体の製造を引き受けなかった場合には、中国の5Gプロジェクトが頓挫する可能性がある。
そうなった場合には中国が米国の関連企業に強力な反撃措置を取る可能性もある。例えばクアルコムシスコシステムズ、アップルなどの主要米国企業を中国版「エンティティリスト」に加え、活動を制限する可能性もある。
22日に始まった全人代では2020年のGDPの目標提示の見送りという前代未聞の動きに出たにも関わらず、軍事費は前年比6.6%増で、中国が今後も軍拡路線を続けていく意思を示した。米国もそうした中国の行動を織り込み済なのか、台湾に魚雷18発を売却するという行動に出たが、これに対し中国が「アメリカ側の台湾への武器売却に断固反対する」と猛反発した。ポンペオ長官は蔡英文政権2期目の就任式に祝辞を送り、TSMCはアリゾナ州に高度な半導体工場の建設を計画するなど台湾は米国との距離感を急速に縮め、中国との距離は急速に離している。この先、中台、米中の間に一触即発の事態が生じる可能性がある。