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G20直前・米中首脳会談の注目点

米中電話会談が行われ「中国との合意の可能性はある」とトランプ大統領が述べたり、米中貿易協議を再開させるなどの動きが出てきており、米中間の雪解けムードが出ている中、21日米国商務省は中国政府の基幹システムを手掛ける中国政府系スパコン大手「曙光信息産業」と米国半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)との合弁を組んでいる「天津海光先進技術投資」、さらには「成都海光集成電路」、「和成都海光微電子技術」、中国人民解放軍系の研究所である「無錫江南計算技術研究所」の計5社を米国の安全保障上リスクがある外国企業のリスト(EL)に加えた。これら5社のELリスト入りはファーウェイに続く形となり、中国政府の激しい反発が予想される。ELは通商分野における事実上のブラックリストであり、一度掲載されてしまうと対象企業や団体に米国製品を輸出することが難しくなる。「中国製造2025」を警戒するトランプ政権が中国企業による米テクノロジーへのアクセスを制限しようという狙いがある。「曙光信息産業」は中国政府のために監視カメラや治安維持のための基幹システムを手掛ける企業で、米国製半導体の供給が停止されると開発に行き詰まる可能性がある。その一方で今回ELに加えられた5社と取引のある米国半導体企業・AMD、インテル、エヌビディアなどの大手各社も返り血を浴びる可能性がある。米国は今回の禁輸措置をG20において開催される米中首脳会談で「制裁関税第4弾」、「香港人権問題」、「ファーウェイ問題」、「為替問題」と並ぶ中国を揺さぶるためのカードとして使うとみられている。米中首脳会談が行われることは確かだが、米国が持つカードと比べると、中国の持つカード(北朝鮮問題、農業問題、レアメタル禁輸、米国債売却、中国人観光客の制限など)は見劣りするが、8月に中国共産党の重要会議である北載河会議を控える習主席はここで安易な妥協をするわけにはいかない。米中首脳会談は特に中国にとっては相当厳しい内容になるとみられる。

日経新聞 一面記事
「中国、陰る外貨パワー 10年で130兆円流出 迫る対外純資産減」

輸出で稼いだ外貨を積み上げ、米国債購入や新興・途上国への融資により世界での自らの存在感を高める――。そんな中国の外貨パワーが陰ってきた。行方のわからない資金流出で中国の対外純資産は頭打ち傾向になっており、国際通貨基金IMF)の予測通り経常収支が赤字になれば減少に転じる。世界のパワーバランスも一変しかねない。
IMFによると2018年の中国の対外純資産は約2兆1千億ドル。日本(3兆1千億ドル)、ドイツ(2兆3千億ドル)に次ぐ世界三位だ。
対外純資産の源となる経常収支の黒字も赤字転落が迫る。