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中国の対米輸出 大幅減

中国の4月の対米輸出は、去年の同じ月よりも10%以上減少し、米国による制裁関税の影響が本格的に表れた形となりました。
中国の税関総署の発表によりますと、先月の輸出と輸入をあわせた貿易総額は3731億4000万ドルと、去年の同じ月を0.4%上回りました。輸入が去年の同じ月よりも4%増えた一方、輸出は2.7%減少しました。
このうち貿易摩擦を抱える米国への輸出は313億ドル余りと、去年の同じ月を13%下回る大幅な減少となりました。
中国の対米輸出は米国側が当初、ことし1月から中国からの輸入品に課している制裁関税の引き上げを予定していたことから、駆け込み需要で去年の後半は大幅に伸びていましたが、このところ減少が続いていて、制裁の影響が本格的に表れた形となっています。
米国は中国との貿易交渉が難航していることを理由に、中国からの2000億ドルの輸入品に課している関税を、10日から大幅に引き上げる方針を明らかにしています。
関税の引き上げで、中国から米国の輸出が一段と減少すれば、中国のさらなる景気減速につながることにもなりそうです。

ロイター
国税関総署が発表した4月の貿易統計によると、輸出は前年同月比2.7%減と、予想の2.3%増に反して減少した。
輸入は前年比4.0%増と、予想の3.6%減を上回り、5カ月ぶりの増加となった。
米中貿易交渉に対する懸念が強まる中、貿易統計はまちまちな内容となった。
キャピタル・エコノミクスはリポートで「中国の輸出の見通しは厳しい。トランプ米大統領が関税引き上げを実行に移せば、輸出の伸び率は2─3%ポイント押し下げられる」と指摘。
「今週、土壇場で合意が成立し、追加関税を回避できても、世界経済の見通しは暗く、輸出は引き続き伸び悩むだろう」との見方を示した。
3月の輸出は14.2%急増したが、一部のアナリストは、季節要因や一時的な要因が影響した可能性を指摘している。
3月の輸入は7.6%減だった。中国政府が道路・鉄道・港湾への支出拡大など景気刺激策を打ち出す中、内需の改善を背景に輸入が増加した可能性がある。
4月の貿易収支は138億4000万ドルの黒字。市場予想は350億ドルの黒字だった。
ANZは、輸出の減少について、80%以上は対米輸出の急減によるものだと分析。スマートフォンなどエレクトロニクス製品の海外需要低迷が、引き続きハイテク輸出の重しになっているとの見方を示した。
交通銀行のシニアエコノミスト、Tang Jianwei氏は「貿易交渉が決裂すれば、外需と内需の双方が打撃を受ける可能性がある。貿易交渉で合意に達しても、中国は米国からの輸入を増やさなければならない。そうなると、貿易黒字が減り、GDP(国内総生産)伸び率への純輸出の寄与度が低下する」と述べた。
4月の中国の対米貿易黒字は210億1000万ドル。3月は205億ドルだった。米国からの輸入は約26%減、米国への輸出は約13%減だった。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのアナリスト、Nick Marro氏は「中国の対米輸出低迷は、中国当局も懸念しているだろう」とし「今回の指標で、今週の貿易交渉の切迫感が一段と強まった。中国が合意を迫られる可能性がある」と述べた。
ノムラのアナリストはリポートで「今日の輸出統計は、成長率に二番底の大きなリスクがあるという当社の見方を裏付けるものだ。中国政府はまだ緩和(政策)をやめられないだろう」とし「米国との貿易摩擦が急速にエスカレートしており、中国は再び緩和策を強化する可能性が高い」と指摘した。


日経新聞

米中経済に追い打ち
関税の応酬「チキンレース」 消費者の負担大きく

米中貿易戦争への懸念が再燃している。米国は2千億ドル(約22兆円)分の中国製品への関税を10日に現在の10%から25%に引き上げると表明した。家電や家具が含まれ、米消費者に与える打撃は大きい。米中両国の関税の応酬はすでに貿易の減少を招いた。関税をさらに引き上げる「チキンレース」は米中景気を下押しし、企業も抜本的な生産体制の見直しが避けられない。

2000億ドルに上る対象品目の関税引き上げには自動車部品や機械部品、衣類の一部などが含まれている。経団連の中西宏明会長は7日の記者会見で「発言通り実行されると影響が大きい」とした。経済に及ぼす影響を巡り「早期に解決するとは思っていない」と話した。影響は日本企業にも広がりそうだ。
工作機械大手の東芝機械幹部は「この状況が続けば納入先の(中国での)設備投資が止まってしまう」と懸念している。