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米中間の貿易戦争は終わりの見えない対立に

トランプ政権が中国からの2000億ドルの輸入品に関税を上乗せする制裁措置の発動を発表したことを受けて、中国側も「同時に反撃せざるをえない」という談話を出し、報復措置に踏み切る方針を明らかにしました。米中間の貿易問題は終わりの見えない対立に発展するおそれがあります。
トランプ政権は中国による知的財産権の侵害に対する第3弾の制裁措置として今月24日からこれまでで最大の2000億ドルの輸入品に10%の関税を上乗せすることを発表しました。
これに対して中国商務省は18日午後、米国の制裁は「大変遺憾で、中国側も同時に反撃せざるをえない」という談話を発表し、近く報復措置に踏み切る方針を明らかにしました。
中国は米国の制裁に対抗して600億ドル規模の輸入品に関税をかけることをすでに公表していて、近く詳しい報復の内容を決めるものとみられます。
米中両国は対立を解消するために、6月以降途絶えていた閣僚級の協議を再開することで調整を進めていましたが、一部のメディアは米国の制裁に中国が反発して「協議をとりやめるだろう」と伝えています。
18日の談話で中国政府も「米国のかたくなな措置は協議に新たな不確実性をもたらした」と批判しています。
トランプ大統領は、中国が報復措置をとるならば次は中国からのほぼすべての輸入品に制裁の関税をかける方針を示しているため、米中間の貿易問題は終わりの見えない対立に発展するおそれがあります。
中国外務省「断固として自国の正当な権益守る」
中国外務省の耿爽報道官は18日の記者会見で「米国の措置に対して中国側も反撃せざるを得ず、断固として自国の正当な権益とグローバルな貿易秩序を守っていく」と述べ、報復措置をとる方針を改めて示しました。
また、米国と中国で調整していた貿易問題に関する閣僚級の協議については「平等で互いを尊重するという前提で協議を行うことこそが貿易問題を解決する唯一の政治的な方法だが、米国の現在のやりかたは誠意や善意がない」と述べ、米国の対応を批判しました。
そのうえで「両国関係の安定的な発展は双方の利益となるだけでなく国際社会の普遍的な期待で、ともに努力していきたいが、米国の単独主義と貿易保護主義のやり方は受け入れられない」と述べ、反発しました。

ブルームバーグ
トランプ大統領は17日の声明で、中国が米国の農家や産業に警告通り報復した場合、米国は直ちに中国製品約2670億ドル相当を対象にする追加関税を目指すと表明した。
事情に詳しい関係者によると、習近平中国国家主席の経済ブレーン、劉鶴副首相は18日午前に北京で政府の対応策を協議するため会合を開く予定。中国証券監督管理委員会(証監会)の方星海副主席は天津市で開催されている夏季ダボス会議のパネル討論会で、中国経済は力強いとし、同国がトランプ大統領の通商戦術によって圧力を受けることはないと語った。
方副主席は米国が中国の対米輸出品全てに関税を課したとしても、中国国内総生産(GDP)の押し下げ幅は約0.7ポイントにとどまると推定。米中関係は正常化し得ると確信しているとし、双方が対等の立場で交渉できるよう希望すると語った。
中国政府は2000億ドル相当の米関税への報復措置を既に表明しており、液化天然ガス(LNG)や航空機などの米製品600億ドル相当に関税を課すとしている。
米政府高官2人が匿名を条件に17日の電話会議で記者団に語ったところでは、トランプ政権は同関税率を25%に引き上げるのを来年まで先延ばしにすることにより、米企業が代替サプライチェーンを探すなど対応策を講じるための時間的猶予を与えようとしている。10%関税は今月24日に発動するとした。
トランプ大統領は17日の声明で、「数カ月にわたり、われわれは中国に対し、不公正慣行の是正と、米企業への公正かつ互恵的な待遇を求めてきた」とした上で、「われわれは行われるべき変革の内容を非常に明確に示してきたし、米国をより公平に待遇するあらゆる機会を中国に与えてきた。しかしこれまでのところ、中国は慣行を改めることに消極的だ」と論じた。
スマートウオッチや近距離無線通信規格「ブルートゥース」対応機器のほか、自転車用ヘルメットや子ども用椅子、子ども用自動車シート、一部工業用化学製品などが同関税の対象から外された。高官の1人によると、7月公表の暫定対象リストからこれらを含め300品目が外され、新たに加えられた品目はなかった。
トランプ大統領は中国との協議の可能性を示唆しながらも、中国が貿易慣行を変えるよう圧力を引き続き強めている。エコノミストらがトランプ政権の戦術によって現在の世界的な幅広い好景気が損なわれかねないと懸念を示す中、実業界の首脳らは高リスクの戦略が企業のサプライチェーンを一変させ、コストをつり上げる可能性があると警告している。
米商工会議所や小売業者団体、農業団体に加え、共和党の一部もトランプ大統領の関税政策への反対を表明してきた。政権内部でもライトハイザー通商代表部(USTR)代表ら対中タカ派と、通商合意を目指すムニューシン財務長官らが対立している。
全米貿易協議会(NFTC)のルーファス・エルサ会長は、「トランプ政権は一部業界の懸念に対応したようだが、多くの米企業や消費者にとっては今回の措置は依然、コストの急増と不確実性の大幅な高まりを意味する」と指摘。「企業にとって不確実性が一番困る。不完全な貿易関係の方がこのような混乱よりはまだましだ」とコメントした。
今回のトランプ政権の追加関税発表により、外交を通じて打開を図る取り組みに暗雲が垂れ込めた。事情に詳しい関係者2人は17日、トランプ大統領が対中追加関税を発動すれば中国は新たな貿易協議を拒否するだろうと述べた。