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戦争リスクは中東からアジア・中国へ

ロイターコラム
中国の無人探査機が月の裏側に着陸したというニュースが世界を駆け巡った新年、中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」は1日の社説で、「戦争準備」が2019年の最優先課題であるべきだと表明した。翌2日、今度は習近平国家主席が演説で、軍事衝突の対象としてどこが中国の念頭にあるかを強力な形で示した。台湾である、と。中国側が撤退して終わった1979年のベトナムとの戦争以降、外国と戦ったことがない国にとってはリスクの大きい一手となるだろう。
中国指導部は長年、台湾をならず者の省とみなし、支配下に置くことを共産党と軍の名誉に関わる問題と位置付けてきた。
習主席は2日の演説で、この「問題」を次世代に持ち越すことはできないと表明。「平和的統一」を強調する一方で、中国政府には必要とあれば武力を行使する権利があると述べた。香港のような「一国二制度」の形ですら、中国に取り込まれることに強く反対する人々が多い台湾は、この演説に反発した。
少なくとも人民解放軍は、米軍の介入を阻止しつつ、領土を奪い取る戦略を中心とした戦争の可能性を考えるようになっている。
台湾周辺に軍艦や戦闘機を展開するなど、強硬な行動を拡大させているのは、独立を問う住民投票の実施は戦争になるというメッセージを台湾指導部に送るためと言える。また、大国への地歩を固める中で、中国は世界に対し、台湾を制圧しようと思えばいつでもできる力があるということを示したがっている。 
台湾側は明らかに、簡単にやられる相手ではないことを中国に理解させたがっている。台湾は2019年の国防費を、前年比6%増の110憶ドル(約1兆2000億円)とした。大部分を米国製や国産の最新鋭装備の調達に充てる。台湾は2日、侵攻してくる中国軍に大きなダメージを与える国産の最新型対艦ミサイルを公開した。
中国は月に手を伸ばしているが、習氏の演説をみれば、同国の領土的な野心がもっと身近にあることが分かる。中国政府が台湾攻撃に乗り出すつもりがなかったとしても、習主席の発言は、いずれ戦争が起きる可能性を高めるものだ。

朝日新聞デジタル
軍事分析で知られるストックホルム国際平和研究所が、2017年の世界の軍事費の報告書を公表。前年比1・1%増の1兆7390億ドルで、1人あたり230ドル(約2万5千円)。11年の1兆6890億ドルを上回り、1989年の冷戦終結後で最高となった。
世界の軍事費は90年代後半に約1兆ドルまで減ったがその後急増。緊張が続くアジアでの軍拡が主な原因だ。17年は地域別で前年比伸び率のトップはアジア大洋州。3・6%増えて4770億ドルだった。うち3230億ドルを占める東アジア(北朝鮮は確認困難で含まず)は4・1%増だった。
過去10年の伸びをみると、軍事費世界1位が続く米国は17年に6100億ドルだが14%減ったのに対し、東アジアは68%増。2位の中国は推定2280億ドルと2倍強に増え、8位の日本は4・4%増の454億ドル、10位の韓国は29%増の392億ドルになった。インドの2017年の軍事費は前年比5.5%増の639億米ドル(約7兆円)で、フランスを抜き、世界5位に浮上した。
東南アジアもこの10年で39%増えた。カンボジアは4倍余り、バングラデシュインドネシアは2倍強と伸びが際立つ。