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欧州で長期化する“鉄冷え(鉄鋼不況)”

ブル-ムバ-グ
インドのタタ製鉄は欧州で3000人を削減する計画を発表した。欧州の鉄鋼市場は世界的な供給過剰や米国との通商摩擦、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不透明感などで深刻な打撃を受けており、冬の時代が続いている。人員削減の対象者の約3分の2がオフィス勤務の従業員となる見通し。
タタの人員削減の背景には、欧州で長期化する“鉄冷え(鉄鋼不況)”がある。米国が発動した鉄鋼関税により行き場をなくしたトルコやロシア、中国からの安い鋼材がEU市場に大量に流入しており、域内の鋼材市況が悪化。世界鉄鋼協会によると、欧州の粗鋼生産量は8月に1145万トンと09年の金融危機以来の水準に落ち込んだが、輸入は大幅に増加した。
欧州鉄鋼連盟は19年のEU市場の鋼材見掛け消費が前年比3.1%減と7年ぶりの低水準になるとの予測を発表した。「英国のEUからの合意なき離脱と米国の保護主義的な措置の加速が見通しをさらに暗くしている」と悲観的な見解を示した。
鉄鋼市況の停滞が続く中、欧州の鉄鋼各社の間に痛みが広がっている。英鉄鋼2位ブリティッシュ・スチールは5月に経営破綻に追い込まれ、中国の敬業集団が買収に向け暫定合意した。
世界最大手の欧州アルセロール・ミタルは11月、19年の欧州の鋼材需要見通しを最大3%の減少と下方修正したほか、オーストリアの鉄鋼大手フェストアルピーネも業界の低迷を背景に収益見通しを引き下げた。