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半期に一度の「為替報告書」 11月へ延伸

「為替報告書」とは、米財務省が半期に一度(4月と10月の中旬)、主な貿易相手国の為替政策を分析・評価し、議会に提出している報告書のことです。
対米輸出を増やすため、貿易相手国が為替介入などで通貨安誘導を行った場合は「為替操作国」として議会に報告し、制裁を発動します。
前回の為替報告書で米財務省当局者が5月28日に記者団に語ったところでは、為替報告書は本来4月中旬が提出期限だが各国を評価する基準の変更などにより遅れていた。今回も10月ではなく、11月にずれ込むようです。個人的は、ガッカリです(苦笑)

為替報告は、2016年4月に「監視リスト」を設け、即制裁ではないにしても貿易相手国の為替政策をけん制するようにしました。前回までの監視対象国は、中国、日本、ドイツなど。
為替操作の有無を判断する3つの基準のうち、経常黒字を巡る基準が国内総生産(GDP)比3%から2%に引き下げられた。残る2つの基準は自国通貨防衛のための為替市場への持続的介入と、200億ドル(約2兆2000億円)以上の対米貿易黒字である。これら3つの基準のうち2つに抵触すると認定された国が、「監視対象国」に指定される。財務省によると、中国は1つの基準にしか抵触しないものの、対米貿易黒字が巨額なため監視対象国とされている。

気になるのは、やはり日本への観方。
前回5月に発表された内容を振り返る。

◎日本
モノでの対米貿易黒字は2018年は680億ドルで世界第4位。2018年の日本の経常収支黒字はGDP比3.5%で、2017年の4.2%から減少。日本は2011年以来外国為替市場に介入していない。財務省は、大規模で自由に取引される為替市場においては、介入は、適切な事前協議を伴う非常に例外的な状況にのみ留保されるべきものと認識している。日本は、継続的な景気拡大を活用して、持続的かつ迅速な内需拡大を支え、長期的成長のためのより持続可能な道筋を作り、日本の公的債務負担と貿易不均衡を削減するための重要な構造改革を実施すべきだ。

というものでした。
日本に対しては「約8年間、為替介入を実施していない」と評価する一方、数年前に円相場はドルに対し「過去20年間の平均に比べ20%超も安い」と指摘されていた。為替報告書では実質実効レートで20%弱い水準とのことですが、名目レートにそのまま20%を適用すると、過去20年間の平均レート(年末終値ベース)は約108円で、この水準から20%の円高ドル安調整後では約86円となります。
今回、現状の約108円は過去20年間の平均レートに近い水準のため、為替レ-トに言及してくる可能性があります。
日本は対米貿易不均衡を削減するため、政府は米国の軍事兵器の大量購入によりご機嫌を窺っているが、民間レベルでは何ら重要な構造改革を実施していない。今後の日米首脳会談で米製品の輸入拡大など具体的に貿易不均衡の是正を求められた場合、カウンターオファーとして20%の円高を求めてくる可能性はあります。直接求められなくても、トランプ米大統領がお得意のツイッタ-で「円相場はドルに対して20%安すぎる」と発言するだけで円相場は大きく動きます。
トランプ大統領の言動は予測不能で、いつどんなツィ-トが飛び出すかはわかりません(苦笑)