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米債務上限2年間撤廃 各メディア報道から

東京新聞】トランプ米大統領は22日、連邦政府の借り入れ限度を定めた債務上限問題で、野党の民主党と合意が成立したと発表した。民主党ペロシ下院議長も声明で、合意案を速やかに成立させると表明。上院でも可決し、トランプ氏が署名すれば、米国債が償還できなくなるデフォルト(債務不履行)は回避されることになる。
米国では債務上限法で、政府の債務残高が一定の水準に達したら、新たな借金のための国債を追加発行できなくなる。民主党の発表によると、合意案では債務上限の適用を2021年7月末まで2年間停止する。
一時凍結していた債務上限は今年3月に復活。現在は新規の国債発行ができず、米財務省は積立金を一時的に流用するなどして資金繰りをしのいでいるが、ムニューシン財務長官は9月上旬にも資金が底をつく恐れがあると警告していた。
一方、米メディアによると、連邦政府の歳出に関し、今後2年間の上限を計3200億ドル(約35兆円)引き上げることでも合意した。内訳は、裁量的経費のうち国防費と非国防費をそれぞれ1600億ドルずつ増やす。

【AFP=時事】ドナルド・トランプDonald Trump米大統領は22日、連邦政府の歳出を約3200億ドル(約35兆円)引き上げ、来年の大統領選の後まで債務上限を一時停止する「妥協」で与野党が合意したと発表した。
トランプ氏はさらにツイッターで、「わが国の素晴らしい軍隊と退役軍人に大勝利をもたらすための真の妥協だった!」と述べた。
米国の債務拡大に反対する共和党保守派は、この合意に抵抗していた。民主党指導部は、国内の優先事項に安定した資金を確保できるとして合意を歓迎した。
ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長とチャック・シューマー(Chuck Schumer)民主党上院院内総務は共同声明で、「この合意を受けてわれわれは、米国民の必要を満たし、また公務員の仕事を尊重する上で極めて有害な政府閉鎖が再び起きないよう努力する」と述べた。
この合意を議会が認めれば、米政府は資金借り入れを継続し、政府閉鎖を回避するとともに国防やそれ以外の施策の歳出上限が引き上げられるが、米政府が掲げる歳出抑制の目標は大きく妨げられる。

【ワシントン共同】トランプ米大統領は22日、連邦政府の借入限度額を法律で定めた債務上限の適用を2年間停止することで共和、民主両党と合意したとツイッターで表明した。9月にも資金が枯渇し米国債の償還ができないデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがあったが、回避することになる。
債務上限は3月に停止期間が切れて復活していた。議会は近く休会に入るため、両党の議会指導部は早期合意を目指し話し合いを続けていた。議会の上下両院が法案を可決し、その後トランプ氏が署名して成立する見込みだ。
問題決着で先行き不透明感を払拭した一方、米国の財政状況は一段と悪化する。

毎日新聞】米国のトランプ政権と議会与野党は22日、連邦政府の債務上限の停止と予算総額の引き上げに関して合意した。米メディアによると、債務上限は2021年7月末まで2年間適用せず、予算は2年間で総額約3200億ドル(約35兆円)引き上げる。債務上限に伴う資金不足で米国債債務不履行(デフォルト)を起こすリスクは回避される見通しとなった。
米議会の与野党は同時に予算上限の引き上げでも合意した。米メディアによると、国防費と非国防費を同額引き上げる。過去2年間で約3000億ドルを引き上げたが、20年の大統領選を見据えて与野党が支持層にアピールするため予算確保を優先した結果、引き上げ幅が膨らんだ。年間1兆ドル規模の米財政赤字はさらに悪化することになる。

日経新聞】トランプ米大統領与野党の議会指導部は22日、連邦政府の債務上限の引き上げと、2年間で歳出を3200億ドル(約34兆円)増やす予算の大枠で合意した。米国債債務不履行(デフォルト)や「財政の崖」による目先の混乱は回避したが、新規国債の大増発は避けられない。財政赤字が年1兆ドルを突破するのも確実で、金融資本市場にゆがみをもたらす可能性もある。
米政権と議会指導部が合意したのは、2011年に10年間分の歳出の上限を定めた「予算管理法」の修正だ。国防費や公共事業費など20会計年度(19年10月~20年9月)の「裁量的経費」の歳出額を1兆3700億ドルに引き上げる。21年度も政府支出を大幅に積み増し、2年間で歳出上限を3200億ドル引き上げる見込みだ。
予算管理法は08年の金融危機後に膨らんだ財政赤字を減らす狙いで制定された。ただ、ホワイトハウスと議会は米景気の悪化を避けるため、2年ごとに同法を修正して事実上骨抜きにしてきた。トランプ政権下では18~19年度も歳出上限を2年で合計3000億ドル分引き上げたが、20年度以降は上乗せ幅がさらに大きくなる。
政権と議会が巨額の歳出拡大で歩み寄ったのは、20年の大統領選・連邦議会選を控え、与野党とも目先の歳出拡大を優先したためだ。共和党は保守派が重視する国防費の上積みを要求。弱者対策を重視する民主党も、雇用増につながる公共事業費や教育費など非国防費の大幅な増額を求めて争った。
米景気は17年末に成立した大型減税の効果が徐々に薄れ、貿易戦争の影響もあって減速懸念がにじんでいる。今回の与野党合意では、連邦政府の借入限度額を定めた「債務上限」も2年間にわたって引き上げることを決定した。市場が懸念していた米国債債務不履行リスクはひとまず遠のいた。
連邦政府の歳出も予算管理法を厳格に適用すれば20年度に前年度比1割ほど減る可能性があったが、歳出の上限を引き上げれば、急激な歳出減による「財政の崖」も回避できる。ホワイトハウスと議会指導部の合意は政府予算を巡る混乱による景気悪化リスクをなくし、当面の実体経済や金融市場にはプラス材料となる。
もっとも、中長期的には財政悪化が強く懸念されそうだ。連邦議会は17年末に10年間で1.5兆ドルという大型減税を決めたばかりだ。米議会予算局(CBO)は20年の財政赤字を9000億ドル程度と見込んできたが、歳出の大幅積み増しで1兆ドルを突破しそうだ。08年の金融危機直後を除けば財政赤字が1兆ドルを超えたことはなく、景気拡大期にこれだけ財政が悪化するのは極めて異例だ。
連邦政府が18年度に市場で調達した財政資金は1兆ドルを突破。政府公認のプライマリーディーラーによる4月時点の予測では19年度も9380億ドル、20年度は1兆970億ドルと高水準で推移し、米国債の大増発は避けられない状態だ。
トランプ大統領は22日、ツイッターで「米連邦準備理事会(FRB)は政策運営にひどく失敗した。2度と間違えるな!」と主張し、改めて大幅な利下げを要求した。FRBは7月末の会合で利下げを決定する見込みで、米10年物国債利回りは18年秋時点の3.2%から2.0%へと大きく低下した。低金利政策は政府の利払い負担を抑えることにもなり、財政再建機運を大きくそぐ要因ともなっている。
連邦政府の債務残高は22兆ドルに達し、CBOは5月時点で今後10年間の財政赤字の累積が9兆ドルを超すと試算していた。低金利にもかかわらず利払い費は19年度時点で3900億ドルと主要国で突出して重い。
トランプ氏は「予算の超党派合意は偉大な米軍の勝利だ」と国防費の増額を誇った。ただ、トランプ政権がまとめた予算教書によると、連邦政府の利払い費は27年度には7800億ドルに達し、国防費すら上回る異例の規模になる。財政悪化は将来の米国の国力をむしばむリスクもある。