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英予算責任局(OBR)報告書 「合意なき離脱なら景気後退も」

英国がEUを合意なしに離脱した場合、英国内経済は来年末までにリセッション(景気後退)に突入し、国内総生産(GDP)は2%縮小する――。財政方針の基軸となる経済予測を行う予算責任局(OBR)は、隔年で公表する財務リスク報告書の中で、こうした見通しを示した。
OBRは同報告書で、国際通貨基金IMF)が4月に発表した世界経済見通しで用いた、合意なき離脱のシナリオに基づき予測。公的債務については、来年以降に年間300億ポンド増加し、2024年までに対GDP比で12%に達すると予想している。
OBRのチョート局長は「不透明感の高まりと景況感の低下により投資が抑えられ、EUとの貿易障壁の拡大が内外の需要を圧迫する」と指摘。これにより国内経済はリセッションに入り、資産の価格とポンドが急落するとしている。
OBRは今回示した予想について、必ずしも最も可能性が高いものではないとしつつも、決して最悪のシナリオというわけでもないと述べている。ただ英中銀イングランド銀行財務省の見通しに比べれば、やや緩やかなものとなっている。中銀は先に、合意なき離脱ならGDPが8%縮小する可能性もあると指摘。一方、財務省は、2035年までに国内経済に900億ポンド規模の打撃を与えるとの予想を示していた。

英政府統計局(ONS)は16日、5月(3カ月ベース)の失業率が3.8%となったと発表した。1975年1月以降で最も低い水準で、過去44年で最低。しかし、失業者は大幅な増加を示す。雇用に関して、好材料出尽くしのように映ります。
一方、6月の小売売上高(数量ベース、季節調整済み)が前月比で1%増加したと発表した。落ち込むとの市場予想に反し、5月のマイナス0.6%からプラスに復帰。非食品部門における売り上げ増加、 非食品を扱う店舗は1.7%拡大した。
これは、EU離脱前の駆け込み消費でしょう。日本の消費税増税前の消費者の行動と一緒。EU離脱により輸入品に関税がかかる前に欲しいものは買っておこうということだと思います。
おそらく、10月までは消費は堅調、そんな推測です。製造、工業生産は落ち込むが、消費は順調、そんな感じでしょうか。
これまでのところ、EU離脱が合意あるものとなるか、合意なしになるかが騒がれていますが、それよりもEUを離脱するのかしないのかが本来問われるべきことです。
欧州ではスイスのようにEUに加盟していなくてもうまくやっている国もあるが、英国の場合は仮にうまくやっていけるにしても数年かかるものと思います。離脱後数年は、EU加盟の恩恵がこれほど大きかったのかと思い知ることでしょう。
ところが、EUの最重要ポストである欧州委員会(European Commission)委員長候補に指名されたウルズラ・フォンデアライエン独国防相は、英国のEU離脱Brexit)について、3度目の延期もあり得ると発言しました。英国としては、メイ氏の後任候補2人はいずれも、現在のEU離脱期限の10月31日を何があっても順守すると主張しているので離脱は間違いないと思いますが、「2度あることは3度ある」とも言われますので可能性はゼロではない。
我々としては、早く白黒つけてくれ、それが本音です。