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米財政赤字、1兆ドル突破へ ②

読売新聞 グロ-バルエコノミ-    米の「借金」 世界のリスク
2019/01/18

米国の財政赤字が再び拡大している。
高齢化社会の本格的な到来で今後、社会保障費が膨らむため、中長期を見据えた財政健全化策に取り組む必要がある。
米政府機関の一部閉鎖が過去最長となり、金融市場は、今後の米財政に対するリスクを意識し始めている。
格付け会社フィッチ・レ-ティングスは、「財政政策決定における機能不全の深刻化が明らかになった場合、米国の格付けにマイナスの圧力がかかる可能性がある」と警告した。
懸念は「中期的な財政課題対処がなされる可能性が当面、低くなっている」という点だ。
金融市場の懸念には前例がある。格付け会社スタンダ-ド・アンド・プア-ズ(S&P)は2011年に、米国債の格付けを「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。米国債が最上級の格付けを失ったのは初めてだった。
当時のオバマ政権に、野党共和党が下院で多数派を握り、「ねじれ議会」となったのは現在と同じ構図だ。リ-マンショック後の大型景気対策で、財政赤字は1兆ドルを超え、財政再建が大きなテ-マとなった。しかし、与野党が激しく対立。S&Pは当時、「議会と政府の能力に悲観的」と指摘して米国債を格下げした。現在に至るまで格付けを最上級へと戻していない。
米国の財政赤字は再び拡大基調をたどっている。19会計年度には7年ぶりに1兆ドルを突破する可能性がある。
米財政は中期的にみれば、厳しい状況にあるのは変わらない。本格的な高齢化社会に伴い、社会保障費が膨張していくためだ。
政治の機能不全を一段と深刻化させると懸念されるのが、米政府債務の法定上限を引き上げる問題だ。上限は現在は20.5兆ドル。昨年末で21兆9740憶ドルとすでに上限を超えているが、3月1日までは適用を猶予している。与野党が春以降、法定上限の引き上げで合意できなければ、米国債はデフォルト(債務不履行)に陥る。
金融市場には警戒感がじわり拡がっている。ブル-ムバ-グ通信によると、18年に発行された2兆4000億ドルの中長期債に対する応札倍率は2.6倍で、08年以降で最も低かった。米国債の安全性に対し、市場からは懐疑的な目も向けられ始めている。
近く、トランプ政権は20会計年度の予算教書を公表する。


ここでの注目点は、米国債の格下げリスク、米国債需要減退リスク、そして政府債務弁済の不履行(デフォルト)リスクとなる。
まずは、米国債の格下げ。3大格付け会社の中でS&Pだけが「AAプラス」に1段階格下げしているが、個人的にはそれがそもそもおかしいと思っています。明らかに過大評価されており、格下げされて当然だと観ています。
次に米国債の需要減退ですが、これについては時期的な問題と中国による買い余力低下が関係してくると思っています。買い余力どころか今後の米中対立動向次第では、中国は米国債の売り手(空売りを仕掛けるとかではなく、莫大に膨らんだドル建て債務の返済履行で保有米国債を売らざるを得ない状況)になる可能性がある。
では、中国に代わる米国債の買い手は?日本?それはないでしょう。日本の機関投資家は外債(米国債等)をオ-バ-ウェ-トにして運用しているように思えます。これ以上の買い意欲については疑問です。さらに言えば、「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」の分別がハッキリしてくることで、米債利回りの上昇が買い意欲を高めることはないように思えます。
そして、米国のデフォルト。ここで言うデフォルトは、アルゼンチンやトルコのような国全体に及ぶ債務不履行ではなく、一部債務に対する不履行のこと。政府債務上限は現に20.5兆ドルあるので、この枠内での債務履行はできるが、それを超えた債務は不履行となるというようなものです。
たとえば、債務上限を1.5兆ドルとか2兆ドル引き上げることができない間は、年金支給額を減額して支給するとか、政府機関の全面閉鎖移行、大統領以下議員や国家公務員などの報酬の減額支給など、これも広義の政府債務の不履行にあたる。米財務省米国債市場で米国債の売りを一定期間禁ずるような暴挙には出ないと思うが、政府債務上限の新たな取り決めが行われない限り、米国政府は20.5兆ドル内で借金をやりくりしなくてはならない。今現在、22兆ドルの債務があるのなら、リストラして超過分の1.5兆ドルを削減しなさいということになります。
まぁ、いずれ23兆ドルだか24兆ドルだかわかりませんが、債務上限は引き上げられる。しかし、その間、金融市場を騒がす出来事が1つや2つ起きるんじゃないかと推測していますが。

2020年危機、ニ-マルショックが米国発なのか、ブレグジットの英国発なのか、EU発なのか、中国発の中国危機なのか、今のところまったく観えないですが、サプライズとは今まで観えなかったものが急に観えるからサプライズなんですよね。