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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

世界経済は今、拡大期?後退期?

国際金融協会(IIF)の調べによると、2018年3月期の世界の債務残高は前年比で約11%増え、過去最高の247兆2000億ドル(約2京7800兆円)になったと報じられた。通貨別ではドル建てが多く、米国の利上げやドル高が引き金になり、返済に困る新興国が出て市場が混乱する恐れがあると警告していた。
IIFは「世界の成長は勢いを幾分失っており、ますます強弱が混在するようになっている。米国の金利は着実に上昇しており、多くの成熟した経済を含めて信用リスクに対する懸念が改めて表面化している」との見方を示した。
内訳は家計、非金融機関や一般政府部門の債務が186兆ドル。金融機関が過去最高の61兆ドルだった。新興市場の債務は2兆5000億ドル増の58兆5000億ドルと、過去最高だった。
IIFは、非金融セクターの債務増加は問題になり得るが、10年前のような債務危機に発展する見込みは低いと述べていた。
また、国際決済銀行(BIS)によると、世界の債務は過去最高に積み上がり、その質の劣化が心配されている。ソブリン・民間合わせた債務総額は237兆ドル(約2京6000兆円)と、リーマン・ショック前を70兆ドル以上上回る。このうち「AAA」格付けを維持しているのはソブリン11カ国、米企業2社のみで、平均値でみた信用の質は低下を続けている。そのため、金融政策の正常化が債務コストを押し上げることになる。

景気にサイクルがあるように、クレジット(信用、与信)にもサイクルがある。クレジットの浮き沈みにおいて、回復・拡大・後退・修復の4つに分けられる。クレジット(信用、与信)は景気動向と置き換えても良く、経済活動の多くがクレジットによる取引となっているためです。
クレジットの回復期と拡大期は経済動向が上向いていく時期であり、企業は需要拡大に伴い設備投資などを増やすため、金融機関などから借り入れを増やす。景気が良いため、家計も財布の紐を緩め、借金 (クレジットカード含む) をしても消費を増やす。
しかし、いつまでもクレジットを積み上げる (借金し続ける) ことができるわけではない。「借金とはいつか返済するもの」であり、それが経済の大原則。どこかでクレジットの積み上げが止まり、借金で消費をすることよりも、借金を返済すことを優先する時期が来ます。
それが後退期にあたる。後退期には、金融機関などがリスクを回避するため、融資を減らし始める。金利を引き上げ、契約条件や与信基準を厳しくする。弱小企業は資金不足に陥り、債務不履行や倒産などが起こり、景気全体が後退する。景気が悪化しているので、家計も財布の紐を閉めて消費を抑える。
コストカットを進めた企業や家計は、そのうちバランスシートが正常に戻り始める。これが修復期に当たる。場合によっては、中央銀行が大規模な金融緩和を実施し、そのバランスシート修正を後押しすることもある。正常に近い状態になると経済活動に対する意欲が戻ってくるため、成長や競争、拡大を再開する回復期に戻る。
今現在、世界の経済や景気がどこに位置しているのかが問題で、人によっては拡大期の終盤にあるという判断により、この先も株高、資産価値上昇を予想する者もいる。
一方で、私fxdondonを含め、すでに後退期に差し掛かって、「終りの始まり」に位置していると観る者もいる。
それがどうであれ、早かれ遅かれ後退期がやってくるという事実には変わりがありません。過去の経験則では、拡大期は緩やかな上昇が長く続き、後退期は急速に下降する。
最後に、少し補足。
上記の世界債務残高およそ240兆ドルというのは、債権とのバランスが確認されている「現在見えている」債務だけです。オフバランスとなっている金融デリバティブの「現在見えない」債務は含まれていません。一般に「隠れ債務」とか呼ばれていたりしますが。