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今までが「適温相場」?

日本経済新聞 電子版
2018年の金融市場はほとんどのリスク資産がリターンを生まない「勝者なき1年」となった。意味するのは積極的にリスクを取ってきた投資資金の逆流だ。金融危機から10年、緩和マネーが支えた適温相場は終わった。米中貿易摩擦や欧米の政治混乱の下で始まる19年、不透明感は一段と深まる。

この記事では 「勝者なき1年」 とか書かれていますが、逆に言えば 「勝者あり9年」 だった訳で。
「緩和マネーが支えた適温相場」 と書かれているが、冗談ではない。「適温相場」 ではなく 「過熱相場」、つまりバブル相場であったことの意識が低すぎます。現在までが過剰債務を積み上げての資産バブルであるということを、まるでわかっていないようです。

世界最大規模のヘッジファンドであるブリッジ・ウォーター・アソシエイツの資産運用は、リスクを最小にし、最大の利潤を得ることを目指すとしており、2008年のリーマンショックに見舞われた際もプラスの運用成績で乗り切っていた数少ないヘッジファンドです。その「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の専門家らが、今どう思っているのかは1つの参考となるでしょう。

「ブリッジウォーター・アソシエイツ」のグレッグ・ジェンセン共同CIOはロイター通信のインタビューで、米国株式市場はまだ米経済の急激な冷え込みのシナリオを検討していないが、2019年にもそのよう状態になる可能性が十分あるとの見方を示した。
ジェンセン氏によると、2019年の米GDP成長率は1%を超えないと予想している。ジェンセン氏は、米経済成長率の低下は必ず世界経済に影響を及ぼすと述べ、経済成長の鈍化に伴い、利益の減少は経済の鈍化よりもさらに著しくなると強調している。
経済成長が低い時には、さまざまな国の中央銀行も深刻な問題に直面することになる。ジェンセン氏は、おそらく各国の中央銀行は、金融政策を現在の引き締めから緩和へ転換することになるだろうとの見方を示した。
また、「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の御大レイ・ダリオ氏は、「今日、資産価格は目いっぱいにかなり高く評価されている。各国の中央銀行量的緩和を行い、金融資産を買い入れたからだ」と述べる。
中央銀行による金融緩和は、それが利下げだろうが量的緩和だろうが、金利を引き下げる要因となってきた。
金利の低下は資産の理論価格を計算する上で分母となる資本コストを低下させ、理論価格を上昇させた。
この単純な仕組みが実際に世界のリスク資産の上昇を後押ししてきた。
ところが、その政策が岐路を迎えている。米FRBはすでに金融政策を逆転し、ECBも追随の意思を示している。日銀でさえ、ステルス・テーパリングや長期金利ターゲットの許容幅拡大によって事実上のブレーキを踏み始めている。
投資家がリスク・テイクに対して高いプレミアムを要求し始めているという。
これはベースとなる金利の上昇とともに資本コストの上昇要因となり、資産価格を下押しする。
ダリオ氏は、この変化が今日明日といった差し迫ったリスクではないと言いつつも、投資家に油断しないよう奨めている。

現在の資産バブルを支えている大きな要因は、米国経済がいまだ堅調であるということでしょうか。
ただ、ジェンセン氏が2019年の米GDP成長率は1%を超えないと予想しているように、米国経済の失速は大きな波乱要因になると個人的にも思います。
米国政府や市場関係者らは明らかにしていませんが、米国経済が成長したかのように観えるGDPも、スポ-ツ賭博、マリファナ使用の合法化による恩恵が大きいものと観ています。違法から合法に変わり、2018年第3四半期からは正規の経済活動としてGDP算出に加わった。成長率で2%ぐらいはスポ-ツ賭博、マリファナ関係で占められているんじゃないかと思っています。
それが正しいかどうかは、2019年第3四半期のGDPでハッキリするでしょう。第3四半期にゼロ成長、つまり、ピタッと成長が止まったとすれば、この観方が正しかったことになります。金融市場では、おそらく大騒ぎになるでしょうが。