fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

通貨ユ-ロをどう観るか?

これからの通貨ユ-ロをどう観るか?
個人的には、よくわからない「雑種のユ-ロ」にはあまり手を出していません。
金融政策で言えば、いよいよユ-ロ圏も金融引き締めかとユ-ロは底堅い動きを示しているようですが、個人的には楽観的というよりは悲観的な観方です。
このブログでは、英国のEU離脱による影響について多く採りあげてきましたが、EU自体も無傷ではいられません。英国よりは状況がマシとは言えども、英国離脱後にEUにも試練が待ち受けているようにも思います。
英国と「特別な関係」にある米国にとって、英国なきEUに対して貿易通商で中国並みの要求があるかも知れません。
このあたりは実際に英国がEUを離脱してからではないとわかりませんが、通貨ユ-ロは金融正常化によるポジティブな面と、実体経済でネガティブな面が共存するのではないかと観ています。

目先、ユ-ロ悲観の記事を目にしましたので参考まで。

マネ-ポストWEB
欧州経済の様子がおかしい。24日に発表されたユーロ圏製造業PMIは予想53.0を大きく下回る52.1となりました。好景気と言われるドイツですら52.3、フランスの数字になるともっと悪く、51.2まで低下しています。
製造業PMIの数字は50が好不況の分水嶺。50を下回ると「悪化している」という意味となります。
製造業PMIの数字で、このところの欧州景気を見てみたいと思います。2016年2月に51.2という、ここ最近で最も低い数字となりましたが、その後8月頃まで52前後の水準で推移しました。2016年9月から状況は改善し、2016年12月には54.9まで戻しています。
2017年に入ってから数字の改善は劇的で、2017年6月の製造業PMIは57.4まで上昇、このとき、ECBドラギ総裁は有名な「シントラ演説」を行なっています。「デフレの力はリフレ(インフレ)の力に置き換わった」という有名な演説です。
製造業PMIの数字をもう少し追いかけますと、2017年12月にユーロ圏製造業PMIは60.6まで上昇、ドイツは63.3、フランスも58.8まで改善しています。ECBによる金融正常化は待ったなしと誰もが考えていました。ユーロドルも1.25前後まで回復しました。
しかし今年の1月から、様子が変化します。製造業PMIは1月から少しずつ下落し、3月には56.6と普通の数字となりました。製造業PMIの数字がどうして短期間のうちに軟化したのか、多くの市場参加者が訝しく思いましたが、それが現実なので致し方ありません。ECBも政策変更を急ぎませんでした。
ECBは結局、量的緩和政策(APP)を10月から半分に減額し、12月には完全にやめることにしましたが、金利の変更は来年2019年夏までないと言明しました。ちょっと中途半端な政策変更になりますが、それだけ将来の景気の回復力に自身が持てなかったのでしょう。
ユーロドルはECBの政策正常化にともない上昇するというのが年初のコンセンサスでした。しかし、すぐに正常化出来ないということが明らかになると、1.25前後から1.15、そして最安値1.1301へと下落したのです。
ユーロは今後どうなるでしょうか。景気回復とともにユーロは上昇するというのが年初のコンセンサスでした。しかし、製造業PMIで見る欧州景気は、年初からただただ下がっています。現状の52.1という数字は、同様に製造業PMIが軟調であった2016年前半のレベルですが、この頃のユーロドルは1.05から1.15の間で長い間揉み合っていた時期です。
米国経済が絶好調、まだ数回の利上げが見込まれているのに対し、欧州は景気後退となると、やはりユーロドルは下値模索とならざるを得ないのではないでしょうか。1.05方向を試すと想定します。

【PROFILE】志摩力男:慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックスドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。