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中国の巨大経済圏構想「一帯一路」 東南アジアでほころび

習近平国家主席が2013年10月、インドネシア国会で「21世紀の海上シルクロード」を打ち上げて以来、インドネシアは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要国だ。15年には、首都ジャカルタ西ジャワ州バンドン間を結ぶ高速鉄道計画に、中国が突然名乗りを上げ、準備していた日本を破り受注した。
しかし、ずさんな計画が露呈し、同高速鉄道工事は難航。ジョコ政権は、ジャカルタと第2の都市スラバヤを結ぶ鉄道の高速化計画では日本に協力を求めるなど、中国と再び距離を取り始めている。
マレーシアは政権交代後の今年8月、中国との鉄道建設やパイプライン事業の中止を発表。マハティール首相は、中国との不利な契約を「不平等条約」とし、「新植民地主義は望まない」と、中国による「債務のわな」を警戒する。
ミャンマーも、中国支援による西部チャオピューの港湾建設計画で、投資額の縮小や、自国の持ち分割合増加など、過度な対中依存回避へ舵を切る。
一方、最大野党を解党し7月の下院選で圧勝した、カンボジアのフン・セン首相は、中国からの支援と投資受け入れの加速を表明。土地を追い出される貧困層の不満や、流入する中国人による治安悪化が社会問題化している。
また、中国の主権主張を全面否定した仲裁裁判所の裁定の「棚上げ」の見返りに、中国からの経済支援を受けるフィリピンは、11月にも予定する習氏の訪比に合わせた追加支援を期待。同時期の米軍との共同軍事演習を控える方針を示すなど、中国への配慮を強めている。
シンクタンクが中国債務の罠にかかる可能性を報告している。融資対象国の情報やデーターベースなどを活用して中国の国別融資額や,予想される一帯一路構想のプロジェクト規模を推計した。航路にあたるジブチモルジブパキスタン,陸続きのモンゴル,タジキスタンキルギスタンなど8カ国を債務リスクが高い国とした。アフリカ東部のジブチは対外債務の8割を中国が占め,中国は2017年,ジブチに海外初の海軍基地を設けた。
「一帯一路」構想が具体化するにつれて,中国の国家戦略として考える視点のほか,プロジェクト対象国のマクロ経済,支払い能力も含めた観察が重要になる。景気後退,政情の変化,為替変動などから,対外債務の返済が滞れば,次の金融危機につながるリスクも秘めている。