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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

日本の強さ  貯蓄率と債権国

英国が財政破綻の懸念に見舞われれ、国際通貨基金IMF)に泣きの融資を申し入れた1976年当時、英国政府の債務残高はGDP比で50%程度に過ぎなかった。英国は、通貨安と高インフレによってIMFの救済を求めるしかないほど困窮した。
一方、日本の政府債務残高はGDP比で250%を超えるものの、低インフレ、ゼロ金利と通貨高円高と、昔の英国とは真逆にある。
両者の違いは、ウィリアム・ブレア・マクロ・アロケーション・ファンドのトム・クラーク氏によれば、貯蓄率と債権国としての立場の違いだという。まぁ、この考えを否定する人はいないでしょうね。
人によっては、日本の財政破綻が近いとか、万札はタダの紙切れになるとか、いろいろな日本悲観論を目にしてきました。もう、いろいろ騒がれて20年以上は経つことでしょう(苦笑)。これから先、何十年経っても騒がれるでしょうが。
ご丁寧に、わざわざ国民一人当たりの政府債務残高を算出して、800万円だとか900万円だとか財政危機をあおるようなこともあります。これを騒ぐ人は、失礼ながら、一人当たりの債務額を返済できないような人たちです。自分にとっては莫大な金額でどうにもならない、と。もちろん、若い人たちにとっては一度に返済できるような「残高」金額ではないでしょう。しかし、国民全体では一人当たりの債務返済額は、結果としてまだまだ余裕なのです。(もちろん、我々国民が政府債務を一度に弁済する義務はありませんよ。あくまで、仮の話です  笑)
じゃ、国民一人当たりの債権額も調べて下さいな。それは、不動産とか金融資産とかだけじゃないですよ。これからカネを生み出すすべてのことについてです。将来の債権残高を生み出す可能性のあるものすべてですよ。
たとえば、国民一人当たりの生産機械設備残高とか、省力化設備残高とか、知的財産権残高とか、その他いっぱい。ご老人ひとりが死ぬと、機械1台とかが比例して死にますか?(廃却されますか?) 違いますよね。もちろん、その逆の将来債務を生み出すものも調べないとフェアじゃありません。しかし、調べようがありません。
結局は、政府債務が貯蓄と債権に結び付いていれば問題はないということです。
ですから、国民一人当たりの政府債務残高が仮に2000万円になったとして、低インフレと通貨高円高の時代が変わらないのであれば、「大したもんだね、ニッポンは」と感じて下さい。
頑張れ、ニッポン!

ちなみに、日本は対外純資産額(絶対額)で世界一だというのは知られていますが、そのGDP比では香港、スイスに負けて世界第3位なんですよね。