fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

米中覇権戦争の行方

トランプ政権の対中関税ですが、中国に対して残りのすべての輸入品にも追加関税を課す第4弾を準備しています。
これまで第1弾から第3弾まで合計2500億ドル相当の追加関税措置が実施されたが、それよりも規模の大きな3000億ドル相当が対象となる第4弾では、スマホタブレットをはじめ、衣食などのより個人消費に密接な製品が中心となります。第4弾の対象となる製品は、より広範なサプライチェーンが利用されているものですので、中国企業のみならず、日本、韓国、香港、台湾や自らの米国企業にも大きな影響が出ることになります。
その影響の大きさから、米国国内でも第4弾の実施なら「黒字でも廃業」に見舞われる企業が多くあることは、先日の日経新聞の記事を紹介しました。
そのため、米国最大のス-パーマーケットであるウォールマートをはじめ600社余りの企業が連名で第4弾の実施に反対する意見書を米国政府に提出したほどです。
米国政府と民間、個人では、中国に対する見方が違っているので、どうしてもトランプ政権への反発が強いのですが、やる時はやるトランプ政権ですから、中国の出方次第で第4弾も実施されます。
貿易戦争、ハイテク戦争にしても、すべては米中覇権を争うものですから、トランプ政権には目先の損得は眼中になく、大局的な視点で事を進めるでしょう。世界のリ-ダ-は米国、米国大統領なのか、それとも中国、共産党国家主席なのか?ということになります。
米国政府が中国に対して警戒を一層強めたのは、キンペ-が国家主席の任期を撤廃し、終身皇帝を実現させてからです。キンペ-が死ぬまで中国のトップとして君臨することが決定され、民意が政治にまったく反映されることが無くなったことに米国は態度を一変させました。「独裁政治、独裁国家に民主主義はない」と。
しかし、現代においては、相手が気に入らないから武力で相手を潰してしまえというわけにはいきません。相手のヒト、モノ、カネ、サ-ビスを奪う、与えない、そんな戦いしか許されません。
もし、中国が武力をもって南シナ海を制圧しようとすれば、米国は「待ってました」「ケンカ上等」とばかり応戦するでしょうが、中国が墓穴を掘るとも考えにくいです。
米国の準備している追加関税第4弾も、米中覇権争い全体で観れば、ほんの小さな1つの事象に過ぎません。資本規制などの資本戦争、人民元との通貨取引を規制、通貨安を是正させる通貨戦争など、武力を行使しない現代版の戦争はまだ始まったばかりと言えるでしょう。
トランプ米大統領は5月、貿易協議を続けている中国に対し「再選後の2期目で取引を継続すれば、中国にとってはるかに悪い内容になるだろう」とツイッターに投稿した。
しかし、中国はトランプ氏の2期目再選の可能性は低いとの観方で今の交渉を避けようと、次回大統領選までは大幅な譲歩を伴う安易な合意はしないとの意向らしい。
トランプ氏の大統領1期目の任期である2020年までが貿易戦争、2020年以降2期目は資本戦争、通貨戦争へと軸足が移り、最悪、中国の出方次第では武力戦争にも発展する。
中国でそれまで、憲法が定める「国家主席と副主席は連続2期(2期10年まで)を超えて任期を継続できない」との規定があったが、それがキンペ-の策略により撤廃された。キンペ-は終身国家主席であり続ける。ならば、中国を叩いておくしかない、米国のその決意はトランプに代わる次期大統領も変わることがないでしょう。