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トランプ政権による中国潰し

ウォ-ルストリ-トジャ-ナル
米国が課す一連の対中関税は、既にぐらついていた経済の管理に努める中国当局者に大きな課題を突き付けている。
中国当局は減速に対処すべく大規模な刺激策を打った。追加の資金を経済システムに注入し、過度の債務依存といった長期的問題を悪化させるリスクを負うつもりだろうか。
中国経済が昨年つまずいた原因は対米貿易紛争だけではなかった。
中国政府は2年前、規制の緩かった「シャドーバンキング(影の銀行)」を抑制するキャンペーンを開始した。こうした貸し手が頼りだった民間企業は現金不足に見舞われ、その社債や手形のデフォルト(債務不履行)は市場を混乱させ、信頼感も損なわれた。中国人民銀行中央銀行)の易綱総裁は、債務抑制策が民間企業の打撃になったことを認めた。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が昨年12月に関税で停戦を宣言したことで、中国政府は経済成長を喚起する時間を稼ぐことができた。大型インフラプロジェクトを中心に中央と地方両方の政府による支出を強化し、シャドーバンキング規制を緩和した。
1-3月の経済刺激策は一部のアナリストがあぜんとする規模だった。マッコーリーエコノミストのラリー・フー氏は、「パニックモード」に入った政策担当者が2兆~3兆人民元(約32兆1760億~48兆2640億円)の追加支出・融資を経済に注入したと話す。政府が鉄道や高速道路、その他の輸送プロジェクトに費やした金額は前年同期から47%も増加した。
人民銀のデータによると、3月末時点の銀行融資や社債といった信用の残高は前年同期から10.7%増えた。ムーディーズによれば、地方政府は1-3月だけで年間の新発債の割り当てを40%使い切ったため、今後年内の借り入れの余地は限られている。
そうした措置は効果があったようだ。政府統計によると、1-3月期の経済成長率は前年同期比6.4%だった。昨年末と同じこのペースは安定を示す。また、年初はさえなかった鉱工業生産は3月に高い伸びを示した。
だが一部のアナリストは、中国の手段が限られつつあると懸念している。減税を受け、個人所得税の徴収額が減少したことから、1-3月期(第1四半期)の税収全体の伸びは大幅に鈍化した。歳入が減速する一方で支出が加速したため、財政赤字は膨らんだ。政府は今年の財政赤字の目標を国内総生産GDP)比2.8%に設定した。エコノミストらは、実際の赤字がこれを上回る勢いにあると話している。
当局者らは過度な借り入れへの不安に取りつかれている。先月の共産党中央政治局会議後に発表された声明は、昨年以降で初めて長期的なデレバレッジの必要性に言及した。債券や融資を含む信用の伸びは4月に減速し、大都市の政府による住宅購入の抑制も始まった。年初からの安易な信用供与の一部が新たな不動産投機に流入している兆しだ。
一部の経済指標は再び揺らぎ始めている。4月の製造業購買担当者指数(PMI)は予想外に低下した。輸出も減少した。機械類や工業原料・建築資材の供給業者の多くは、前年からの回復がコスト上昇で阻害されたと話す。
列車や航空機や風力タービン用のテープやフィルムを生産する中国メーカーの幹部は「今年の展開を予想するのは難しい。夏の状況を見る」と述べた。新規受注は減少しているという。
習主席の下、短期成長と長期の構造改革の選択を迫られた時には常に成長が優先されてきた。成長がおぼつかなかった今年初め、習氏は演説で「安定」という言葉を何度も使った。
トランプ氏が5月に新たな関税をちらつかせた直後、人民銀は民間企業に対する融資拡大措置の一環として中小銀行の預金準備率を引き下げると発表した。金融業界や経済界では一層の緩和の可能性を示す兆しだとの見方が多かった。
野村インターナショナルのアナリストらによると、投資家や政策担当者は経済活発化を示す最近の兆しについて楽観的すぎたとも考えられる。貿易摩擦の突然の激化と最近の株価下落を受け、中国政府は成長安定に向けた一段の緩和策を講じると決めた可能性があるという。
別の課題も予想される。豚コレラ発生を受けて食品価格が上昇しているだけでなく、生産者やサービス業者にとっての物価も上昇している。そのためスタグフレーションの可能性が高まっていると国海証券のエコノミスト、ファン・レイ氏は話す。人民銀の劉国強副総裁は先月、当局者らが豚肉価格の上昇に注目していると述べた。
マッコーリーのフー氏は、経済成長が短期的な安定後に一段と減速するリスクがあると予想。今年後半には6.2%に減速すると考えている。迅速だった今年の刺激策と成長促進は足早に去ったかもしれないという。


「ニ-マルショック」に大きく絡んでくるであろう中国。
貿易戦争、技術戦争はこれから激しさを増すが、通貨戦争、南シナ海を舞台とした武力戦争も加わる。
「経済が悪化するから」「株価が下落するから」トランプ政権はどこかで妥協点を見い出すという見方があるが、そのような楽観的観方は覆されると思います。
私fxdondonの思うトランプ像について、私fxdondonと近い考えを持つ人の記事がありましたのでご参考まで。

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奥山真司
地政学・戦略学研究者
みなさんは、トランプ大統領という人物についてどう考えていらっしゃるのでしょうか。
もちろん彼は日本の最重要同盟国の大統領であり、世界的にも最もパワフルな国のナンバーワンです。
彼のことをポジティブに見る人にとっては、これまでのリベラルなメディアに対して、堂々と「フェイクニュース」と言い切り、エリートに反旗を翻して既得権益に切り込み、経済も復活させつつ庶民の心が本当にわかる、素晴らしい大統領というイメージがあるかもしれません。
ネガティブな見方をする人々にとっては、マナーもへったくれもなく、私生活も破綻している、スキャンダルだらけの准犯罪者的な破滅型ビジネスマン、ということになるでしょうか。
そのような中で私が個人的に本当に気になっているのは、彼が2019年という現代において、貿易・関税戦争に見られる、中国の「新冷戦」を始めた、歴史的な使命を背負った(?)人物であるように見えるという点です。
なぜ歴史的使命なのかというと、シンプルにいえば、トランプ大統領は既存の大国であるアメリカのトップであり、それを急激に追いかける中国という新興大国と覇権争いを始めた時の、最初(で最後の?)の大統領となったからです。
もちろん「覇権争いなどではない」という意見の方もいらっしゃるとは思いますが、私はそのような楽観的な観測をする時期はすでに終わったと考えております。
トランプ大統領は、現時点では日本でもアメリカでも人気の高いところはありますが、私としては、このような型破りの人物だからこそ「リベラル・インターナショナル・オーダー」と言われる既存の国際秩序を破壊するには最適な人物であり、だからこそそれをしっかりと破壊するという役割を担っているのだと頭の隅で考えております。彼を取り巻く国内・国際的な状況を考えると、どうも楽観的な予測はできないのです。