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投資家が万が一に備えた戦略の練り直しに動く

ブルームバーグ
ウォール街は米中で繰り広げている貿易戦争が全面的な対立に至る場合、幅広い投資対象に影響が及ぶと警告を発している。米国債だけでなく、このリスクから最も遠いとみられる資産まで、あらゆる投資家が万が一に備えた戦略の練り直しを強いられる。インドネシア債、半導体株の上場投資信託ETF)、イタリア債といった相関性が低い金融商品も、関税をめぐって米国と中国の争いが激化すれば、一斉に値下がりする可能性がある。
ステート・ストリート・バンク・アンド・トラストでアジア太平洋の投資・リスク助言部門責任者を務めるダニエル・ジェラード氏は、米中対立の激化は「思考プロセスを変えるものだ。これが続くなら、われわれも成長を見込むシナリオからより保守的な見通しへと、判断を変更する」と指摘した。
今年に入り貿易問題の懸念を物ともせず世界的に株価は上昇していた。このため、米中関係悪化で大幅な反落に向かっているのは当然だが、問題はどれだけ下落するかだ。
バンク・オブ・アメリカBOA)は米中対立が激化する場合、米S&P500株価指数が5%下落するとし、目先の利益に対する影響よりも投資の遅れなど間接的な損失が大きいと見込む。
より深刻な株安となる恐れもある。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル最高投資責任者(CIO)は、「交渉が完全に失敗して中国が報復、さらなる追加関税が導入される展開をたどるなら、米国株の下落率は10%以上に達する」と警告する。
外国経済へのエクスポージャー(市場の価格変動のリスクにさらされている資産の割合)がより高い欧州株では、計算上はいっそう厳しい影響が及ぶ。BOAによれば、米中が合意を結べない場合、ユーロ・ストックス50種指数は最大11%下落すると予想。モルガン・スタンレーは、香港ハンセン指数が3%前後、中国本土株のCSI300指数が約8%下がる可能性があるとみている。
BOAによると、中国で売上高の10%超を稼いでいる大企業の組み入れ比率が高いETFでは、半導体企業のファンドが上位を占める。ブラックロックのiシェアーズPHLXセミコンダクターETF(SOXX)が最も影響にさらされやすいという。
成長に関連するキャッシュフローに影響が及べば、とりわけ1~3月期に大きく値上がりしたアジアの社債に懸念が生じる。アバンティ・セーブ氏らバークレイズのストラテジストは、事業環境に逆風が強まっていることを考えればアジアの社債は最近の上昇で買われ過ぎ感が強まっていると指摘した。
バンガード・アセット・マネジメントは、ウクライナやアルゼンチン、インドネシアなど高リスク債が最も打撃を受けやすいとみている。
欧州ではドイツ債は値上がりするが、イタリア債は売り浴びせられるリスクがある。イタリア債利回りは先週、2月以来の大幅上昇を記録。UBSグループは投資家に対し、米中の緊張が強まる場合はイタリア2年債の投資判断をアンダーウエートとするよう推奨した。(ブルームバーグ