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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

ゾンビ企業への逆風

オランダの金融大手ラボバンクはリポートで、米連邦準備制度理事会FRB)による量的金融緩和(QE)策で米国債の価格を押し上げたが、FRB保有資産縮小方針によってQEの逆となる量的引き締め(QT)を実施することにより、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に悪影響を与え米国債への逃避を促すとの見方を示した。
2008年に始まった第1次QEについては、金融機関の破綻を防いだと評価する声が大勢だが、その後については諸説ある。
同リポートでは、第2次以降のQEが企業に設備投資より金融資産への投資を促したことや低い借り入れコストによって本来なら生き延びられない「ゾンビ」企業を存続させたと主張する。
さらに、QTによって企業が借り換える際のコストが上がっていくことがゾンビ企業への逆風になると指摘。こうした企業の市場からの退出は「景気の下降局面をもたらすだろう。つまり、金利は上がることが可能になる前に下がらなければならないということになる」と分析した。(ブルームバーグ)

中国で不動産企業間のM&A(企業の合併・買収)が加速している。背景には資金繰りの悪化や債務圧力があり、識者は市場集中度が高まると予測する。
融創中国は先ごろ、傘下の融創房地産が武漢中央商務区と買収契約を交わしたと発表した。
融創房地産は125億5300万元(2043億3900万円)で武漢中央商務区を所有する、中国泛海控股集団傘下の上海泛海建設公司の全株式を取得する。
融創中国は先日もインターネット大手、アリババが手掛ける競売プラットフォームで、開発業者の資金不足で建設工事が4年間止まっている浙江省杭州市内の不動産物件を33億4000万元で手に入れた。
不動産情報総合サービス、克而瑞信息集団(CRIC)研究センターの沈暁玲・研究員は「土地使用権の入札・競売は競争が激化しているため、流通市場における合併・買収によって不動産プロジェクトを取得することは同業界の共通認識となっている」と指摘する。
万科企業は2018年上半期に取得した不動産の51.1%が、同業他社の株式購入を通じて手に入れたものだ。中国恒大、陽光城集団なども、流通市場を通じて不動産プロジェクトを買収している。
要因は、資金繰りの悪化だ。易居中国研究院智庫センターの研究ディレクター、厳躍進氏は「使用権譲渡の入札で破格の高値を出して土地を手に入れる『地王』と呼ばれる開発業者のプロジェクトは現在、市場の圧力に直面している。過去数年間に高値で土地を手に入れた不動産企業は“消化不良”を起こし、資金面の負担が急速に増している」と話す。
不動産企業の資金調達も相次いでおり、統計機関によれば19年1月以降の調達額は1200億元を超えた。
中国指数研究院は19年について、「不動産に対する規制が短期間内に緩和され、各社の資金繰りが改善されるという見立ては難しい。市場は調整周期に入っており、市場集中度がさらに高まるだろう」と分析している。(中国新聞社)

中国企業同士による債務保証が、世界3位の規模となった本土債券市場のリスク感染に対する脆弱さを露呈させつつある。
共産党が統治する中国では、民間企業は長く資金確保で工夫を強いられている。一方、国有企業は銀行システムに対して優先的なアクセスが可能だ。民間企業は互いに保証し合うことで融資をめぐり銀行を前向きにさせてきた。
しかし、本土債のデフォルト(債務不履行)が記録的な水準に増える中で、そうした相互保証に伴うストレスが連鎖するリスクが浮上、それが社債価格に反映されつつある。
タイヤを生産する中国万達集団の2021年償還債は9月末以降、大きく下落した。鉄製ワイヤメーカーの山東勝通集団に債務保証していたことが響いている。2カ月前に銀行融資の返済が滞った。中国万達はエンターテインメント業界の大企業、大連万達集団とは関係がない。
S&Pグローバル・レーティングのクレジットアナリスト、クリフォード・カーツ氏(香港在勤)は「大掛かりな相互保証が、次から次へと急速に広がり得る連鎖効果のきっかけとなる可能性がある」と述べた。
中国万達と山東勝通が共に本社を置く山東省の経済規模は約1兆ドル(約113兆円)。ダイナミックな民間セクターが同省経済に寄与してきた。カーツ氏は山東省を本拠とする多数の企業の社債値下がりは「各企業の基盤となる業績にかかわらず、こうした相互保証が招き得るリスクを投資家が回避しようとしていることを示唆しているのかもしれない」と指摘した。
銀行融資を受けるため企業の創業者らが自社株を担保として差し出す慣行と同様に、企業同士による債務の相互保証は世界的にはあまり一般的でない。(ブルームバーグ