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2019年は世界経済が痛みを感じる年に

ブルームバーグ
2018年は貿易戦争が勃発した年だったが、19年は世界経済が貿易戦争の痛みを感じる年になりそうだ。
ブルームバーグのグローバル・トレード・トラッカーが示す貿易の状況は、関税賦課を見越した前倒しの輸出発注が減少する中、悪化している。米中両国が貿易戦争の解決を目指す中でも貿易高は一段と鈍化すると予想され、企業は混乱の継続を警告している。
既に被害者が出ている。ウエアラブルカメラメーカーの米ゴープロは、対米輸出向けのカメラ製造拠点の大半を来年夏までに中国外へと移す予定。中国から生産施設を移す有名ブランド・エレクトロニクスメーカーの先駆けの1社となった。貨物輸送会社の米フェデックスは最近、利益見通しを下方修正したほか、国際的な空輸能力を引き下げた。
物流施設の開発・運営を手掛けるプロロジスのハミード・R・モガダム最高経営責任者(CEO)は、「貿易へのいかなる介入も経済への重荷になる。その結果、世界経済は恐らく鈍化するだろう」と指摘した。
最近の経済指標も、貿易が来年の米経済成長を抑制するとの懸念を浮き彫りにしている。米消費者は1年後の米経済を全く楽観しておらず、中小企業の景気改善に対する楽観的見方は2年ぶりの低水準となった。企業は来年の利益の伸び鈍化を見込んでいる。
国際通貨基金IMF)は来年の貿易伸び率が今年の4.2%から4%に鈍化すると予想している。昨年は5.2%だった。IMFは貿易障壁が一段と顕著になっていると警告する。
欧州も影響は免れない。ドイツ機械産業連盟(VDMA)によると、同国の主要産業である機械セクターの今年の生産高は今年、過去最高の2280億ユーロ(約28兆7000億円)となる見通しだが、貿易摩擦などのため来年は増加率が鈍化する見込み。今年の同生産高の増加率は実質ベースで今約5%と、11年以来の高い伸びとなり、来年は2%に鈍化すると予想される。
さらに米国が欧州や日本からの自動車輸入に関税を課すリスクもある。これが実行されれば、世界最大級の経済国・地域同士の関係に打撃をもたらすことになる。また中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の逮捕は、予想外の出来事によって既に緊張をはらんでいる関係が急速に悪化するリスクを鮮明に示した。
シティグループ・グローバル・マーケッツのエコノミストは最近のリポートで「2018年以降の貿易のかい離と解決が遅れて宙ぶらりん状態の関税問題が19年にかけて続くことにより不透明感の強い状態が継続し、貿易と投資計画に引き続き影響を及ぼすだろう」と記述している。