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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

実体経済の減速がどうソフトランディングできるのか

主要中央銀行の総資産規模は、FRBが既に減少、ECBがこの年末で増加停止から横ばい、日銀は増加ペースの鈍化となっており、2019年以降は3中銀合算の総資産額が減少に転じる。
「カネ余り」「緩和マネー」はタダ同然で借金や資金調達ができたため、国際金融協会(IIF)によれば世界全体の債務残高は2018年3月に247兆ドル(約2京8000兆円)で、前回の金融危機時の08年9月から約4割も増加。国際決済銀行(BIS)によれば237兆ドル(約2京6640兆円)と、双方若干の開きはあるが、ざっくり240兆ドルと捉えていいでしょう。
世界全体で240兆ドルの債務が発生しているのなら、逆に240兆ドルの債権も発生している。もちろん、その債権最大の保有国は日本であり、これから訪れるニ-マルショックにおいて日本円に戻されるレパトリは前回の金融危機時よりも大きくなることは必至でしょう。
その中で、注目されるのは株式市場の動向。
世界最大のヘッジファンドであるBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が、先般の世界同時株安とその背景について語っている。
「米国では利上げのために短期金利長期金利とほとんど同じ水準まで上がった。どの期間の国債に投資しても、無リスク資産に投資しながら基本的に3%程度の金利を得ることが出来る。一方で、株式に現在の株価水準で投資した場合のリターンはどうだろうか?国債の年率3%より大きいとは思えない一方で、リスクはあまりに大きい」
「ファンド・投資家は株式から債券に資金を移しており、それが先般観られた世界同時株安の原因となっている」
FRBが利上げを続けられるか?来年も定期的に利上げを続けるとは思わない。市場で織り込まれている以上の速さで利上げをした場合、すべての資産価格に影響する。すべての資産価格は国債金利を前提としているからだ」
と述べている。
要は、国債金利は長期ものが短期ものより高いという前提で、おカネはうまく回っている。株式相場も、おカネがうまく回っている中で投資家も安心して投資することができる。
しかし、その安心は「カネ余り」「緩和マネー」の前提があって生み出されたもので、それが周り回って企業業績を支えてきたとも言えます。
そして、市場や世間では、FRBによる金利引き上げのことばかり注目されているが、FRB保有資産の圧縮についてはあまり注目されていない。そこに、大きな落とし穴がある。
米国の外交問題評議会(CFR)のベン・スティ—ル氏とベンジャミン・デラ・ロカ氏は、FRB保有資産の圧縮効果を過小評価していると指摘する。両氏によれば、保有資産の圧縮は米10年債利回りを0.17%引き上げたが、過去の相関性などを踏まえると、0.68%の利上げに相当するという。仮にFRBが月当たり500億ドルのペースで保有資産を圧縮すれば、2019年末には2.2%の利上げを行うも同然であるという。両氏によれば「金融政策は2019年早々にも、経済を減速させる」と予想している。
FRBは2017年10月から保有資産の圧縮に踏み切り、これまで米国債住宅ローン担保証券など合わせて3000億ドル縮小し、それとは別に5000億ドル相当の緩和ドルマネ-を金融システムから吸収した。タダ同然で資金調達できるおカネは減少し、実質の金利は名目の金利より上昇して実体経済に影響を及ぼすことになります。もはや、実体経済の減速がどうソフトランディングできるのかに注目すべきでしょう。