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2019年以降に金融危機が起きる可能性

東洋経済オンライン
2019年以降に金融危機が起きる可能性が高いとして、何がその引き金になるのだろうか。実は「震源」を予測するのは難しい。以下、可能性のあるものを5つ挙げよう。
まずは前回のリーマンショックと同様にアメリカが震源地となるケースだ。アメリカと中国の貿易戦争については、明らかにアメリカが有利であり、この問題でアメリカが震源地になる可能性は低い。ただし、一方でアメリカの「双子の赤字」(貿易赤字財政赤字)をどう解消するのか明確な手段が見えないかぎり、不安がくすぶり続ける。
次に欧州だが、9月13日に欧州中央銀行(ECB)が成長見通しを下方修正した一方で、予定どおり年内に量的緩和策を終了する。ドイツ連邦銀行中央銀行)は同国の主要都市の住宅価格が過大評価されていると懸念を表明しているが、金利が上昇すればこうした「住宅バブル」が崩壊する危険性は消えない。また、ドイツ以外でもPIIGSポルトガルアイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)も依然として不安を抱える。特にポピュリスト政権下のイタリアには注意が必要だ。
3つ目はつねにバブル崩壊が指摘される中国だ。盤石ではない金融システムに加え、国内の債務問題も震源になりかねない。国際決済銀行(BIS)によると、2017時点での同国の家計債務のGDP比率は48.4%。2006年時点では僅か10.8%であり、この10年間で一気に債務が積み上がった。中国人民銀行によれば、この家計債務の6割近くは住宅ローンだ。貿易戦争をキッカケに国内景気が悪化→家計の所得が減少→住宅価格下落という「負の連鎖」が起きる可能性を否定できない。
もちろん、新興国震源地になる可能性がある。1990年代のアジア通貨危機ほどではないが、やはり経常赤字国は要注意だ。8月10日のトルコリラショックは「新興国危機」の引き金となるほどではなかったが、アルゼンチンペソを筆頭に、その他の新興国通貨(南アフリカランドやブラジルレアル)は下落基調を脱し切れておらず、ドル金利の上昇が続けば、経常赤字国は一段と苦境に陥る。
実は日本においても火種がないとは言えない。先進国の中では最後まで金融緩和政策からの「出口戦略」を明確に取れていない。債券市場でも株式市場でも日本銀行が異常なプレゼンスを発揮した状態が続く一方、不動産市場でも世界的な金余りを背景に海外投資家の資金が流れ、公示地価が平成バブル崩壊後では初めて3年連続上昇となった。やはり何かをキッカケにして、日本国内でも価格下落が起きてもおかしくない。
恐ろしいのは、もし危機が来るなら、リーマンショックと同じようにやはり同時多発的になる可能性があることだ。一時期、「デカップリング」という言葉がはやったことがあったが、これだけグローバル化が進むと世界同時不況化は避けられない。
最近は個人投資家もインターネット上でさまざまな情報を得ることができるため、手数料の安い(ノーロード、低信託報酬)投資信託や、海外ETFを対象に積立投資をすることが最もパフォーマンスをよくするなどの投資方法が浸透している。だが、金融危機時には分散投資も効果が出にくい。金融危機が起これば、すべてのアセットクラスが程度の差はあれ、すべて下落する。また、積立投資も長期にわたる下落相場が始まれば効果を持たない。
そこで考えるべきは、キャッシュポジションの調整である。ここ数年の上昇相場である程度の評価益が出ているのであれば、一度利益を確定し、その後、改めて危機に備えたポートフォリオをあらかじめ構築すべきではないか。相場の下落時にはキャッシュポジションを多くしておくことは、相場の反転期に投資余力を持つことにもなるし、下落時に影響を受けにくい。
著名な経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908-2006)が語ったように、いつバブルが崩壊するかは誰にもわからない。金融危機がいつ来るかなどとはとても明言できない。しかし、つねにその可能性を頭に入れて資産運用をすべきだ。


ごもっとも。
リスクオンは緩やかに徐々に、リスクオフは一気に急激に、その繰り返しである。