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英EU離脱 企業に安堵と懸念

サンケイ
英国が現地時間の31日に欧州連合(EU)から離脱するための手続きが完了する中、現地で事業活動を行う日本企業の間では安堵と不安が交錯している。経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」への懸念から、日本企業はすでに生産体制などを見直してきたが、今回、英国とEUが現状の経済関係を維持する「移行期間」に入ったことは安心材料だ。ただ、移行期間中に英・EUの貿易協定が結ばれなければ関税が復活する不安要素も残り、日本企業は警戒感を緩めていない。
英国にはトヨタ自動車日産自動車、ホンダが完成車工場を構える。このうちホンダはすでに、来年7月に生産を止めると決めている。日産は高級車ブランド「インフィニティ」の2車種の生産を昨年で終了。「欧州事業への投資を適正化する」として、スポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」次期モデルの生産計画も撤回した。
両社とも直接の関連を認めていないが、生産体制見直しへの背景には、合意なき離脱への懸念があったようだ。昨年から現地で新型「カローラ」の生産を始めたトヨタも「必要な量だけつくる」として部品在庫を多く抱えない戦略をとっており、合意なき離脱が生産停止に直結する物流の混乱をもたらすリスクに神経をとがらせてきた。
合意なき離脱が当面、回避されたことについて自動車業界関係者は「ひとまずの着地は喜ばしいが、関税問題は先延ばしになっただけ」と指摘する。
イギリス連邦からの独立論などで不確定要素が強いスコットランドに欧州地域本社を持つ協和キリンは、規制部門の一部や医薬品の保管庫を英国から移転。NECも欧州事業の枠組みを改めた。英国で鉄道車両を製造する日立製作所はイタリアなど世界の製造拠点を活用して需要の変化に対応できる体制を整えた。ただ、関係者は「為替変動や英国経済減速などの間接的な影響の方が大きいかもしれない」とする。
金融事業に関してはEU域内では一つの免許で営業できる制度があるが、離脱後の英国では適用できなくなるため、各社はロンドンの金融街ティーから欧州大陸への拠点の移転を進めた。大手銀行関係者は「EU内での営業に支障はないが、英離脱後はモノやカネの行き来が以前よりも滞る可能性は否定できず、注視したい」と強調する。