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英国 合意なき離脱で英国内自動車生産は消滅?

ドイツの自動車大手BMWが、英国が欧州連合(EU)からの離脱条件で合意しないまま離脱する場合、英国で生産している小型車「ミニ」の生産を欧州の他地域に移す検討をしていることが分かった。英国のEU離脱を前に、同国での自動車生産を見直す動きが広がっており、合意なき離脱となれば、自動車各社の“脱英国”の動きは加速しそうだ。
BMWが移管を検討しているのは小型車「ミニ」を生産している英オックスフォード工場。クルーガー最高経営責任者(CEO)は、「ミニ」ブランドの一部生産移管を検討しているほか、英EU離脱に備え部品の備蓄を進めていることを明らかにした。
BMWはかねてEU離脱に伴う混乱を避けるための対策として、来月1日から4週間生産を停止する方針を明らかにしていた。同CEOは「当社は複数のシナリオで作業を進めている。英国のEU離脱が延期されれば、柔軟に対応し、一部計画を先送りするつもりだが、自社部品のサプライチェーン(供給網)に混乱が生じる事態に備え、部品は備蓄している」と述べた。2日~1週間程度の供給分は確保しているという。購買担当取締役のアンドレアス・ウェント氏によると、BMWの部品調達額は英国内で約7億ユーロ(約890億円)、英国への輸入額は20億ユーロに上るという。
一方で、トヨタ自動車も英国がEUから合意のないまま離脱する場合、貿易面に支障が出るリスクを危惧、その場合に英国内での生産車種の拡大は困難との見解を示している。
フォルクスワーゲン(VW)も離脱の行方に懸念を示す。VWのディースCEOは、「詳細が定まらない中で、EU離脱の影響を数値で表すのは難しい。合意なき離脱となれば経営体制の大改造が必要になる」と語った。
英国のEU離脱をめぐる協議が難航する中で、離脱に伴う混乱に対応するため、自動車各社による英国の生産体制を見直す動きが相次いでいる。ここ2カ月だけでも、英国内の自動車生産台数でシェア11%のホンダが2021年の撤退を決めた。日産自動車はスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデル生産計画を白紙撤回。さらに、英スカイニューズは日産が英工場の生産ライン縮小計画を検討していると報じた。
仏自動車大手グループPSA(旧プジョーシトロエン・グループ)は傘下の英自動車メーカー「ボクソール」の英国内の生産体制を見直す方向で検討している。また、印タタ・モーターズ傘下で英最大の自動車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)はEU離脱をめぐる不確実性などを理由に、国内を中心に4500人の雇用削減を公表した。アストン・ビジネス・スクールのデービッド・ベイリー教授はこうした動きについて、「英国が投資魅力に欠けるとみられていることの表れだ」と指摘した。(ブルームバーグ