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英企業も徐々に「合意なき離脱」を想定

ウォ-ルストリ-トジャ-ナル
【ロンドン】テリーザ・メイ首相率いる英政府は、欧州連合EU)離脱を巡って混乱に陥り、「合意なき離脱」の可能性が現実味を増している。
英政府にはまだ複数の選択肢があり、足元の合意案に対する議会承認も不可能ではない。だが、正式離脱があと4カ月足らずに迫り、合意なき離脱となった場合に企業が直面するコストや物流面の問題が一段と強く意識され始めている。
極端なシナリオでは、英企業は突如としてEU市場への自由なアクセスを失うことになる。英国とEUの双方の企業幹部や政府関係者が、国境を越える製品の税関検査を開始しなければならず、大幅な遅れが生じると警告している。英政府も、合意条件がなければ、現在は免税扱いの輸入品に対して世界貿易機関WTO)が定める一定の関税率がかかるようになると述べている。
一部のアナリストは、秩序なき離脱となれば、輸送・製造・製薬業への影響が最も大きくなると指摘する。ドイツの高級車大手BMWは英国内で「MINI」ブランドを製造しているが、部品在庫を積み上げ、英国と欧州で倉庫スペースや駐車場の確保に乗り出している。英政府は製薬企業に医薬品の在庫積み増しを指示。食品会社は原材料の在庫を膨らませている。
一方で、EU離脱の先行きが見通せないことから、多くの中小企業は何らの対策も講じずにいる。英国産業連盟(CBI)の最近の調査によると、英企業の42%はEU離脱の危機管理計画を持たない。現実化しないかもしれない問題について、詳細な対応計画を策定するほどの費用を捻出する余裕がない企業は多い。
それでも、他の多くの企業は対策を練っている。アイルランドオートミールメーカー、エドワード・フラハバン・アンド・サンズはEU離脱期限を控えて英倉庫の在庫を倍増させた。
アイルランド企業は特に影響を被りやすい。アイルランドにとって英国は米国に次ぐ輸出先であるばかりでなく、英国以外への輸出品も英国内の港湾を通じて輸送される。アイルランドの農機メーカー、マルチホグは、年商の3分の1にあたる500万ユーロ(約6億4000万円)を投じて部品を予約注文し、在庫を積み増すことで不測の事態に備えている。
おそらく企業努力だけでは緩和できない問題もある。輸送業界が一例だ。EUを離脱すれば、英国の運送業者はEU域内の走行に特別許可が必要となる。英道路運送協会(RHA)のロッド・マッケンジー氏によると、英国向けのそうした許可証は約1000用意されているが、およそ3万8000台のトラックが定期的に英仏海峡を行き来している。
マッケンジー氏は「情けないほど政府指針が欠落している」とし、「手遅れだ」と嘆く。輸送問題の解消にはフランスやベルギーとの2国間協定が必要になる公算が大きく、交渉には相当な時間が掛かる可能性がある。


このような差し迫った大混乱を目の当たりしたメイさんは、かつての強気姿勢から妥協してでも合意ある離脱へと方向転換した。
もっと意志の固い、かつてのサッチャ-首相のような『鉄の女』をイメ-ジしていたのだが、残念ながらそこらへんにいる、つまらない政治家の一人だった。
そして、上記記事の英道路運送協会(RHA)のマッケンジーさんが述べているように、英国政府は無責任過ぎました。「合意ある離脱」ばかりに時間を割いて、「合意なき離脱」に関する政府指針がまるでない。何をどうしていいのか、企業も国民もさっぱりわからない。EUの定める規則やル-ルに慣れ親しんだ英企業や英国民が、ある日突然、無法化地帯に放り出されるようなものです。下手をすると、暴動とか混乱に乗じたテロとか、思いもよらない事態を引き起こすことも考えられます。
どうなることやら・・・。

ロイター
スコットランド行政府のラッセ憲法相は19日、ブレグジットに向けたプロセスは「破滅的」で、英政府はスコットランドの行政府や議会の見解に興味がないと批判。英政府の提案は議会で否決される見通しだとし、常識的な代替案を確保するため全力を尽くすと表明した。