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米レポ金利上昇後、経済はハジける(過去の経験則)

ウォ-ルストリ-トジャ-ナル
翌日物レポ金利は、銀行などの金融機関が極めて安全性の高い債券(国債)との交換で、互いに資金の貸し借りを行う際の金利であり、2%前後に落ち着いているはずだった。しかし、9月17日の同金利は一時10%にも達した。その基本的原因の1つは、市場に出回っている国債の量に比べて、準備預金が少なかったことだ。このため各銀行は、安全な政府債と交換する場合でさえも、他行への貸し付けにより慎重になった。
市場を落ち着かせるため、ニューヨーク連銀が市場に介入し、3回のレポ取引を行った。これにより各銀行は国債(あるいは米連邦住宅抵当公社= ファニーメイ =などの機関の債券)と交換で、新たな準備預金を得た。NY連銀は19日朝に実施した3回目の入札では、750億ドル(約8兆1000億円)のレポ取引を提示した。

・準備預金とは何か
多くの人は認識していないが、世界には基本的に2つのタイプのお金がある。準備預金として知られる中央銀行のお金と、それ以外の私たちが使うお金だ。
中銀のお金を使えるのは銀行、政府と一部の政府系機関だけだ。このお金は中銀の口座の中にあり「準備預金」と呼ばれる。それ以外の私たちが使うお金は、普通の銀行が提供するマネーである。この他に、だれもが使える特別な中銀のお金がある。それは私たちの財布の中にあるお札とコインだ。
・準備預金は何のために存在するのか
準備預金は、私たち市民の取引に伴う各銀行間の支払いのために、日々活用されている。個人がだれかに送金する場合、1つの銀行口座から他の銀行座へマネーが移動したように見える。
しかし、それは実際に起きていることとは違う。実際には、最初の個人が利用する銀行が、その個人の当座預金口座の残高(それは実際には銀行が個人から借りている金額の単なる記録にすぎない)を減らす。銀行は次に、送金額相当の準備預金を、相手方銀行に送る。送金を受けた銀行では、2人目の個人からの借入額が増える。このためこの銀行は、この個人の預金口座のマネーの額を増やす。
・準備預金はどこから来るのか
準備預金が銀行システムに入りこむのは、例えば政府がお金を使うときだ。政府職員の給与を払いたいときや巡航ミサイルを購入したいとき、政府は準備預金を政府が中銀に持つ口座から、市中銀行(お金を受け取る個人および企業が利用する)が中銀に持つ口座に送る。その後、銀行は政府職員ないし巡航ミサイルの供給業者の口座の預金額を増やす。
 政府は国債を投資家に販売することで、準備預金の一部を取り戻すことができる。それはプライマリーディーラー、つまり国債のマーケットメーカーとして機能するという特別な役割を持つ銀行を通じて行われる。国債の販売は、これら投資家の預金口座を持つ銀行からの準備預金を使って決済される。
・「量的緩和」はどこに関係するのか
量的緩和QE)」の重要なポイントは、金融システムを資金であふれさせ、あらゆる類いの借り入れコストを大幅に低くすることで、金融危機の痛みを和らげることだった。
中央銀行は、銀行を通じて投資家から国債を買い戻し、何兆ドル(またはユーロないし円)にも相当する準備預金を創出することによってこれを行った。これは、銀行に膨大な準備預金を与えた。その代わりに、銀行は国債を売った人々に同等額の大量のマネーを提供した。こうしたマネーは、経済活動や、よりリスクの高い社債の購入などに使われる可能性がある。他の形態の債券への需要が高まれば、借り手はより安く資金調達できる。
FRBは経済の基盤が強固になったと感じ、国債の購入をやめた。FRB保有する国債が満期を迎えると、政府はFRBに資金を返済する必要があった。政府は準備預金をFRBに返すことでそれを行った。その後、FRBはそれを破棄し、最初に国債を購入したときの逆のプロセスを行った。
準備預金はまた、政府が民間投資家に新規の米国債を販売する際、あるいは税金を徴収する際、銀行システムから出ていく。税金の支払いは、企業や一般人ではなく政府が直接に準備預金を扱うため、特別のものとなっている。つまり納税においては、一般の銀行から中銀にある政府口座に準備預金を送金することを意味する。納税者の銀行口座にある同額のマネーが消失することになる。
結論:米国債の新規販売および納税は銀行システムから準備預金を吸い上げる。
・それではなぜ今、この準備預金問題が突然浮上したのか?
これは兆単位のドルにかかわる問題だ。一部アナリストによれば、その答えは、銀行がどの程度の規模の準備預金を必要としているのか、このところFRBがよく理解していなかったというものだ。金融危機以降の新たな諸規則や、大手銀行が合格しなければならないストレステスト(健全性審査)が相まって、保有の必要があると銀行が判断した準備預金の額が増加した。
しかし、量的緩和QE)からの転換、債券市場での政府借り入れの増加、最近の相次ぐ納税の動きなどにより、準備預金は縮小している。
翌日物レポ市場での資金需給の逼迫の主因の1つは、市場に銀行が購入を希望する以上の国債があるにもかかわらず、一部の銀行は依然として購入を強いられているというものだ。それは、いわゆるプライマリーディーラーで、彼らは政府から国債を購入し、投資家にそれを売却している。
もし銀行が米国債を買い付ける際に自行の準備預金を使用したくない場合、そうした資金を別のところから借りる必要がある。彼らは銀行間市場で調達することができるほか、翌日物市場でマネーを借りることもできる。この翌日物市場の金利は急騰した。
これが短期的な調整措置として新たな準備預金と引き換えに、ニューヨーク連銀が国債の一部買い付けを行った理由だ。定期的な国債入札を実施するという恒常的な措置は、もっと長期的な解決策となるかもしれない――もし、問題が銀行だけでなく、まだ銀行システムのどこから生じたかは不明だが、よそから生じた資金需要の問題があるのでなければ、という話だが。

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長々とした記事ですが、レポ金利の仕組みはわかったと思います。
しかし、レポ金利の仕組みとかはどうでもいいんです。そんなことは知らなくてもいい。
知っておくべきは、レポ金利が上昇した後、米国経済がどうなったのかである。過去の経験則はどうなのかということです。
ズバリ、経済はハジけます。それが過去の経験則、過去からの教えです。

(レポ金利推移)

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