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歴史的なポンド急落の可能性は来月19日以降に持ち越し

英国議会は、EU側に離脱の3か月延期を求めることを政府に義務づけた法律を成立させ閉会しました。ただ、ジョンソン首相は、EUと合意ができなくても離脱の延期は求めない方針を重ねて示しています。
議会はおよそ1か月にわたって閉会し、来月14日から新たな会期が始まることになっています。今後、ジョンソン首相は、来月19日までに離脱についてEUと合意し、議会の承認を得られなければEUに離脱の延期を要請するよう法律に縛られることになります。
しかし、英国側が離脱の再延期を望んでも、それを正式に認めるかどうかはEU側の決定による。フランス政府高官は「その場しのぎ」の再延期を認めない姿勢を示しています。フランスのルドリアン外相は、EU離脱を巡る行き詰まり打開に向け新たな解決策を英政府当局が提示する兆しが見られない「現状」では、英国のEU離脱期限(10月31日)を先送りする用意はフランスにはないと語った。
EUとしては、いつまでも英国に振り回されるのも迷惑でしょうし当然です。
しかし、英議会の閉会で、歴史的なポンド急落の可能性は来月19日以降に持ち越しです。

 

英国を待つ第二の離脱

ジョンソン英首相は、EU離脱延期に同意するくらいなら「野垂れ死にした方がましだ」と語った。
一方、フランスのルドリアン外相は、EU離脱を巡る行き詰まり打開に向け新たな解決策を英政府当局が提示する兆しが見られない「現状」では、英国のEU離脱期限(10月31日)を先送りする用意はフランスにはないと語った。「英国は離脱を確実にするために他の解決策を提示したいと言う。だが、われわれはそれを目にしておらず、そのため答えはノーだ。3カ月ごとに最初からやり直すつもりはない」と述べた。
英国が離脱再延期を望んだとしても、EUが「ノ-!」なら、そこで終わる。


読売新聞
ワ-ルドビュ-
欧州支局長 緒方賢一

この夏、英国北部スコットランドに出張した際、見慣れない紙幣をお釣りにもらい戸惑った。見慣れたエリザベス女王の肖像ではなく、騎士の顔が描かれていた。
その紙幣は地元の民間銀行が発行している。
英国では中央銀行イングランド銀行だけでなく、スコットランド北アイルランドの2地域で7つの銀行が独自紙幣を発行している。7行は紙幣の発行額に見合う資産をイングランド銀行に預けており、紙幣の価値はイングランド銀行中央銀行)が保証する。
英国はロンドンを中心とするイングランド、西部ウェ-ルズ、北部スコットランド北アイルランドの4地域の連合だ。スコットランドは独立志向が強く、2014年には独立を求め住民投票まで行った。
ジョンソン首相の「EUとの取り決めがなくても10月末にEUを抜ける」ということで、再び独立を求める声が勢いづいた。
スコットランド自治政府のスタ-ジョン主席大臣は、「次の総選挙ではEU離脱への反対と、独立を選ぶ我々の権利を中心に訴える」と述べた。
外交筋は「EU離脱の後には、イングランドを除く3地域の連邦離脱という難題が待ち受ける」と指摘する。


このへんのところは、過去の記事でもご紹介しました。
我々が通常ポンドと呼んでいるのは、イングランド銀行が発行する「イングリッシュ・ポンド」。その他、「スコッチ・ポンド」、「アイリッシュ・ポンド」もある。
かつて、英国がEUに加盟しても、EUの域内共通通貨ユ-ロを選択しなかった理由の1つでもある。
目先、EU離脱が合意あるものなのか無いものなのかに注目されているが、重要なのは合意があろうが無かろうがEUを離脱するか否かである。英国のEU離脱は、いずれ3王国のUK離脱へと進展する。私fxdondonも、そう観る。
前にも書いたが、私fxdondonは「ブレグジット平価説」を唱える。合意があろうとなかろうと、英ポンドの下落による価値の減少は等しい、つまりそれが早いか遅いかだけのことであって、当面ポンドの価値は下がり続ける。それは、インフレという症状を伴なって通貨価値が失われていくことになるでしょう。
気になるのは、仮にスコットランドがUKから離脱し、独立してスコットランド王国が成り立つかどうかである。
まず、通貨については前述の通り問題ない。スコッチポンドを使用すれば良い。
スコットランドの領土はグレートブリテン島の北部3分の1を占め、本島と別に790以上の小島から構成されている。首都のエディンバラは英国第2の大都市であり、ロンドンと同じく欧州金融センターの一つでもある。最大の都市であるグラスゴーに人口の40%が集中している。
ウィキペディアの記事によれば、スコットランドの法制度、教育制度および裁判制度はイングランドおよびウェールズならびに北アイルランドとは独立したものとなっており、そのために、国際私法上の1法域を構成する。スコットランド法、教育制度およびスコットランド教会は、連合王国成立後のスコットランドの文化および独自性の3つの基礎であった。しかしスコットランドは独立国家ではなく、国際連合および欧州連合の直接の構成国ではない。
スコットランド王国のUKからの離脱は、確かに大きな問題ではあるものの、独立後の体制としては比較的進めやすいと言える。まぁ、このへんの推測は、英国がEUを正式離脱してから、諸情勢を観てからになる。