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トランプ大統領 「誰かが中国と対決する必要があった」

ロイター
トランプ米大統領は20日、米中貿易摩擦については「誰かが中国と対決する必要があった」とし、「短期的な結果が良いか悪いかどうかは重要ではない」と述べた。
また中国は通商合意を望んでおり、近い将来もしくは後のことになるかは不明としつつも、いずれ合意に至るだろうとの考えを示した。
政府当局者によると、カドロー国家経済会議(NEC)委員長は、中国製品への関税引き上げによって得た資金を納税者に還元するべきだと水面下で主張している。
しかし、中国は米財務省に直接関税を支払っておらず、還元の実施方法は明確に示されていない。関税は、中国製品が米国に入荷した時点で米企業が支払っている。

この記事では「貿易摩擦」という表現だが、実際は「貿易戦争」が正しい表現でしょう。
この米中覇権争いにおいて、「誰かが中国と対決する必要があり、短期的な結果が良いか悪いかどうかは重要ではない」ということがすべてを表しています。
9月1日に第4弾の中国に対する制裁関税を行うが、これに中国が報復措置に出た場合には「究極の報復」を行うとトランプ大統領は中国を威嚇している。「究極の報復」とは何を意味するのだろうか。ファーウェイなど中国企業5社の製品を政府機関が調達するのを13日から禁じたが、これをもう一段進めファーウェイを米国市場から締め出したりすることがある。5月、米国企業が政府の許可なくファーウェイや関連68社との取り引きを禁じる措置を導入した。この措置をめぐって19日、取り引きを禁止するリストに新たにファーウェイ関係46社を追加したと発表した。
一方、香港のデモ問題に強い関心を示すトランプ大統領は、習主席に香港デモ参加者と話し合いの席につくよう促す姿勢を見せているが、この要望は習主席にとっては到底受け入れられるものではない。中国政府は香港デモをテロリストによるものと断定し、容赦ない圧力を加えていく姿勢を鮮明にしている。ましてや今、このタイミングで米国は日本円にして8500億円相当の計66機のF16戦闘機や戦車などの軍備を台湾政府に売却すると米国が決断したので、トランプ大統領と習主席の電話会談すらできるかどうかという雰囲気になっている。
それらのことに対して中国の報復措置として、米国債の売却やレアメタルの禁輸などが噂されるが、それは自虐行為に過ぎない。
CNBCが“China’s currency would collapse 30% to 40% if they stopped supporting it”で報じたところでは、中国は人民元の価値を維持させるためにはドルのストックが必要で、彼らが通貨を自由にフロートさせたら人民元は簡単に30%~40%低下するという。その理由として,中国はドルベースで世界のGDPの15%を占めると主張しているが、自国の通貨である人民元で決済される世界の取引は1%にも満たないことを挙げている。
またウォ-ルストリ-トジャ-ナルの“Trade War Becomes Currency War”によれば、金融機関以外の中国企業のドル建て債務は国内総生産GDP)の6%に相当する8000億ドルに上る。中国の金融機関のドル建て債務は同5%相当の6700億ドルだという。急激に進む人民元安という為替の圧力が引き金となって、ドルやその他の通貨建ての債務はデフォルトの危険性が高いという。
また、人民元の信用はドルに裏付けされていることもあるでしょう。誰も中国という国家自体を完全に信用している者などいない。市中に出回っている人民元紙幣のうち2割がニセ札ですので、信用しろという方が無理でしょう(苦笑)
レアメタル、レアア-スについては、日本にも落ち度がある。経済産業省石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が2017年、金や銅などのレアメタル希少金属)を含む海底の鉱石を安定的に引き揚げる実験に世界で初めて成功したが、2020年代後半の商業化を目指すとした。これでは、あまりにも遅すぎます。政府主導で早急に対処してもらいたいところです。
米国と中国、どちらが覇権国にふさわしいか、日本の場合は言わずとも明らかなのですから。