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IMF「ドルは過大評価」でドル円はどう動くか

唐鎌 大輔 : みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
7月18日にIMF国際通貨基金)は『2019 External Sector Report(ESR:対外部門の安定性に関する報告書)』を公表した。
ドル相場については「2018年平均の実質実効為替相場(REER)で見た場合、ドル相場は6~12%の過大評価である(the 2018 average REER to be somewhat overvalued, in the 6 to 12 percent range)」と結論づけた。6~12%のレンジ、すなわち中央値では9%程度の過大評価という話になる。
円について言えば、「実質実効レートに影響する日本の特殊要因(Japan-specific factors that affect the REER)である日米金利差やポートフォリオリバランス効果、円に対する一時的な短期筋のポジションなどを踏まえた結果」とされている。The EBA REER index modelやthe EBA Level modelsに準拠すれば、マイナス17~マイナス22%の過小評価だとされている。IMFの標準的なアプローチでは過小評価となっていることは覚えておいてもよいだろう。
円の実質実効レートに関し過去20年平均と比較した場合は、今年6月時点でマイナス17%である。これは主要通貨ではメキシコペソの次に過小評価である。
ドルが過大評価であることは各種定量分析が示すところではあるが、その修正はアメリ財務省による為替介入ではなくFRB米連邦準備制度理事会)の金融政策のハト派傾斜によって順当に進んでいくと考えてよい。
上記のようなドル高認識に加え、過去5年はほとんど調整なくドル高相場が続いてきたことや、ドル円相場が年明け以降わずか8円程度しか動いていないことなどを思えば、FRBが今後1年で3回の利下げを行うと仮定した場合、1ドル100円割れを望む展開があってもさほど驚きではない。